ホームマーケット経済指標解説2017年7~9月期実質GDP(第1次速報値)予測

2017年7~9月期実質GDP(第1次速報値)予測

2017年10月31日

-7~9月期実質GDP第1次速報値・前期比は微増ながら7四半期連続プラスか-
-実質個人消費は前期比マイナスに転じるが、外需は前期比プラス寄与に-
-家計最終消費支出・需要側統合比率が5割は今回で終了、12/8から3割に-

●11月15日に発表される7~9月期・実質GDP第1次速報値の前期比は+0.2%程度、前期比年率は+0.6%程度と、小幅の増加ながら、7四半期連続のプラス成長になるとみた。 

●7~9月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は▲0.2%程度を予測する。実質の個人消費は▲0.4%程度を予測する。設備投資は前期比+0.2%程度の微増になりそうだ。 

●外需の前期比寄与度は2四半期ぶりにプラスになるとみた。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の7~9月期の前期比は▲2.5%の減少になった。また、非耐久消費財出荷指数は同▲1.4%の減少だ。同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の7~9月期の前期比は▲0.1%の減少だ。また、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の7~9月期の前期比は▲0.1%の減少だ。乗用車販売台数の7~9月期の前期比は▲6.3%の減少だ。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の7~8月平均対4~6月平均比は▲0.6%の減少だ。7~9月期は天候不順の影響などで個人消費がもたついたようだ。総合的に判断すると、7~9月期の個人消費の前期比は前期比▲0.4%程度と、4~6月期の前期比+0.8%のしっかりした増加から一転して減少に転じるものと思われる。 

●10月25日の統計委員会国民経済計算体系的整備部会において、家計最終消費支出、民間企業設備の推計の需要側と供給側の統合比率の見直しが審議され、過去のデータに基づき、QE値と年次推計値との乖離が最小化されるような統合比率の導出方法が変わった。この結果、需要側の統合比率が低下することになった。個人消費では、これまで需要側の統合比率が約5割あったが、12月8日公表予定の7~9月期2次QE公表時には約3割に低下する。季節パターンが変更することから、94年1~3月期まで遡及して再推計される。 

●住宅投資は前期比▲3.0%程度とみた。先行指数である最近の新設住宅着工戸数・年率は、オリンピックの選手村の建設が始まったこともあり、16年12月の92.3万戸を底に17年4月分の100.4万戸まで増加した後、8月分では94.2万戸まで低下してきていることなどを参考にした。 

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の7~9月期の前期比は+0.3%の増加になった。資本財(除.輸送機械)は同▲0.2%の減少である。また、建設財は同+0.3%の増加になった。ソフトウェア開発・プログラム作成の前年比は、4~6月期が+4.7%、7月が+9.1%、8月が▲0.6%である。供給サイドから推計される7~9月期の実質設備投資・前期比は+0.2%程度の微増になると予測した。 

●在庫投資の前期比寄与度は0.0%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、7~9月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+2,997億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+1,888億円である。一方、鉱工業在庫指数の前期比は、4~6月期が▲0.5%のマイナスだったが、7~9月期は▲1.6%のマイナスになったことなどを考慮した。 

●公共投資は前期比▲0.9%程度の前期比マイナスと見た。16年度の第2次補正予算の執行が一服するとみた。関連データの公共工事出来高の前年同月比は17年4月+6.4%、5月+10.3%と上昇していたが、6月分+7.7%、7月分+6.1%、8月分+5.3%と鈍化してきている。 

●実質輸出入の動向をみると輸出の7~9月期の前期比は+1.9%の増加になった。輸入は同▲1.5%の減少になっている。7~9月期の外需は前期比寄与度+0.4%程度と2四半期ぶりにしっかりしたプラス寄与になりそうだ。