ホームマーケット経済指標解説2019年4~6月期実質GDP(第1次速報値)予測

2019年4~6月期実質GDP(第1次速報値)予測

2019年7月30日

-4~6月期実質GDP第1次速報値・前期比は3四半期連続のプラス成長に-
-1~3月期の反動もあり、外需の前期比寄与度は▲0.4%程度に-
-令和への改元効果もあり、個人消費、設備投資がしっかりした前期比に-

●8月9日に発表される4~6月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+0.4%程度、前期比年率+1.7%程度と3四半期連続のプラス成長になると予測する。

●4~6月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は+0.9%程度を予測する。民間需要の寄与度が+0.7%程度、公的需要の寄与は+0.1%程度のプラス寄与度と予測する。

●実質個人消費が+1.0%程度、設備投資は前期比+1.8%程度とともにしっかりした前期比になると予測した。

●外需は、輸出が+0.1%程度と前期比微増にとどまり、控除項目の輸入が前期比+2.5%程度と輸出を上回る増加率になるため、外需の前期比寄与度は▲0.4%程度になるとみた。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4~6月期前期比は+4.5%の増加になった。一方、非耐久消費財出荷指数は同▲2.6%の減少だ。GDPの個人消費算出には直接使用されないが、同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の4~6月期前期比は+0.5%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4~5月分平均比対1~3月分平均比は+0.7%程度の増加とみられる。乗用車販売台数の4~6月期前期比は+5.7%の増加になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の4~5月分平均比対1~3月分平均比は+1.6%の増加である。4~6月期第1次速報値では個人消費の前期比は総合的に判断すると+1.0%程度と予測する。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4~6月期前期比は+5.0%の増加になった。資本財(除く輸送機械)は同+2.5%の増加である。また、建設財は同+0.5%の増加になった。改元対応などでソフトウエアなどの設備投資は底堅いとみられる。供給サイドから推計される4~6月期実質設備投資・前期比は+1.8%程度の増加と予測した。

●昭和から平成になった89年1~3月期やミレニアムの00年1~3月期では個人消費、設備投資の前期比が高い伸び率になった。80年から18年の39年間の、4~6月期の個人消費、設備投資の前期比平均は各々+0.3%、+0.5%であり、このレポートの予測値はこれらを大きく上回る。

●なお、5月の婚姻件数(実数)は93,128件で前年同月比は+96.3%とほぼ倍増である。新婚生活関連の消費支出も出たものと思われる。

●民間在庫投資(民間在庫変動)の前期比寄与度は▲0.1%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が1~3月期第2次速報値時点での情報を使って算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲1,443億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+398億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は、1~3月期は+0.9%だったが、4~6月期は+0.8%と伸び率が鈍化したことなどを考慮した。

●公共投資は前期比+2.3%程度の増加とみた。関連データの公共工事出来高・前年同月比は4月分+0.1%、5月分+2.1%で、1~3月期の前年同期比▲2.2%の減少から増加に転じている。4~6月期の公共投資は名目ベース、実質ベースともに1~3月期より前年同期比が改善すると考えた。

●実質輸出入の動向をみると輸出の4~6月期前期比は+0.1%と僅かな増加になったが、控除項目の輸入は+2.3%の増加になっている。モノの外需の4~6月期の動向はプラス寄与になるとみられる。サービス面を考慮して、GDPの輸出の1~3月期前期比は+0.1%程度の増加、輸入は同+2.5%程度の増加と予測した。4~6月期の外需の前期比寄与度は▲0.4%程度になると予測する。