ホームマーケット経済指標解説2016年4月分鉱工業生産指数・速報値について

2016年4月分鉱工業生産指数・速報値について

2016年5月31日

4月分鉱工業生産指数・前月比+0.3%と熊本地震乗り越え2カ月連続増加
基調判断は「総じてみれば、生産は一進一退で推移している」に据え置き
4~6月期の鉱工業生産指数や実質GDPは前期比プラスの可能性高まる
景気動向指数・一致CIによる景気判断早ければ7/7に「改善」に上方修正も

(鉱工業生産)

●鉱工業生産指数・4月分速報値は様々なビックリポンをもたらす明るい内容になった。

●鉱工業生産指数・4月分速報値前月比は+0.3%となった。熊本地震発生にもかかわらず、2カ月連続の増加である。前年同月比は▲3.5%と2カ月ぶりの減少になった。4月29日の祭日が金曜日になるなど、曜日要因も前月比にプラスに働いた面もありそうだ。

●4月分の生産を業種別にみると、15業種のうち増加が7業種、横這いが1業種、減少が7業種だった。化学工業(除.医薬品)、電気機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業などが増加し、金属製品工業、輸送機械工業、繊維工業などが減少した。

●前回の製造工業生産予測調査によると、4月分前月比は+2.6%増加であったが、熊本地震発生の影響も加わり実現率は▲5.9%の下振れだった。製造工業生産予測調査ベースの4月分前月比は▲3.4%の減少だった。予測調査対象外のところが底堅く、鉱工業生産ベースではしっかりだった感がある。

●今回の製造工業生産予測調査によると、5月分前月比は+2.2%、6月分は同+0.3%の見通しである。

●経済産業省が公表している鉱工業生産指数の先行き試算値を経済産業省が公表するようになった。熊本地震発生前の計算による4月分の前月比は最頻値で+0.8%だったので、0.5ポイントの下振れで済んだことになった。

●5月分の前月比は最頻値で0.0%、90%の確率に収まる範囲で▲1.0%~+1.0%になる見通しだ。

●先行きの鉱工業生産指数を、5月分先行き試算値最頻値前月比(0.0%)で、6月分を製造工業予測指数前月比(+0.3%)で延長した場合、4~6月期の前期比は+1.0%の増加になる見込みだ。

●4月分速報値の鉱工業出荷指数・前月比は+1.5%と2カ月連続の増加になった。鉱工業在庫指数は前月比▲1.7%と2カ月ぶりの減少になった。鉱工業在庫率指数は115.7で前月比▲2.2%と2カ月ぶりの低下になった。

●大きな動きをチェックするために、鉱工業全体での縦軸に在庫の前年比をとった在庫サイクル図をみると14年1~3月期では、出荷の前年比が+7.4%、在庫が同▲1.2%、と45度線を下回っていた。しかし、14年4~6月期では、在庫が前年同期比増加に転じ、出荷の前年比が+0.9%、在庫が同+3.1%、と45度線を上回ってしまい、在庫積み上がり局面に入った。15年10~12月期では、出荷の前年比が▲0.8%、在庫が同0.0%、と近づいたものの45度線をやや上回った。16年1~3月期でも出荷の前年比が▲2.4%、在庫が同+1.8%だった。4月分では、出荷の前年比が▲3.6%、在庫が同+0.1%と45度線を上回ったままとなっている。

●経済産業省の基調判断は14年12月分で「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」に3カ月ぶりに上方修正された。15年1月分・2月分・3月分・4月分でも「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」で据え置きだった。しかし、5月分では「総じてみれば、生産は一進一退で推移している」に11カ月ぶりに下方修正された。「一進一退」の表現は14年11月分以来6カ月ぶりだった。6月分に続き7月分でも判断は「総じてみれば、生産は一進一退で推移している」に据え置かれた。8月分では14年8月分以来の「弱含み」に下方修正され、表現は「総じてみれば、生産は弱含んでいる」となった。

●その後、15年9月分では「総じてみれば、生産は一進一退で推移している」と上方修正され、7月分までの判断に戻るという明るい結果になった。10月分・11月分・12月分・16年1月分・2月分・3月分に続き、4月分でも「総じてみれば、生産は一進一退で推移している」という判断で据え置きになった。

(4~6月期のGDP予測)

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4月分の対1~3月分平均比は+1.9%の増加になった。非耐久消費財出荷指数は同+1.8%の増加だ。同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の4月分の対1~3月分平均比は+0.2%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4月分の対1~3月分平均比は+2.8%の増加だ。乗用車販売台数の4月分の対1~3月分平均比は+10.1%の増加だ。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の1~3月期から4~6月期比へのゲタは0.0%だ。まだ5・6月分について予断を持つことなく見る必要はあるが、4月分の好スタートから判断すると、4~6月期第1次速報値では個人消費の前期比はプラスの伸び率になる可能性が大きいだろう。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4月分の対1~3月分平均比は+3.6%の増加になった。資本財(除.輸送機械)は同+4.9%の増加である。また、建設財は同+1.0%の増加になった。供給サイドから推計される4~6月期第1次速報値の実質設備投資・前期比は4月分の好スタートのデータを見る限りプラスの伸び率になる可能性が大きいとみられる。

●実質輸出入の動向をみると輸出の4月分の対1~3月分平均比は▲0.6%の減少になった。輸入は同▲5.0%の減少になっている。モノの4月分の動向だけからみると、4~6月期第1次速報値の外需はプラス寄与になりそうだ。

●8月15日に発表される4~6月期の実質GDP第1次速報値・前期比は予想外にしっかりしたプラスの伸び率になる可能性が出てきた。

(4月分景気動向指数予測)

●4月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+1.4程度と2カ月連続の上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列で、5月31日午前9時時点で数値が判明しているのは、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの8系列で、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、日経商品指数、マネーストック、中小企業売上げ見通しDIの6系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、東証株価指数の2系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る新設住宅着工床面積1系列の前月差はマイナス寄与になると予測した。

●4月分の一致CIは前月差+1.9程度と2カ月連続の上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な8系列で、5月31日午前9時時点で数値が判明している、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列全てが前月差プラス寄与になることが判明している。残る、中小企業出荷指数1系列も前月差プラス寄与になる可能性が大きいとみた。

●一致CIを使った景気の基調判断は4月分でも、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」の判断が継続しそうだ。

●基調判断が景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に戻るには、「当月の前月差の符号がプラス。かつ原則として3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が上昇する」ことが必要だ。4月分一致CIの3カ月後方移動平均前月差は+0.23程度と2カ月連続の上昇になろう。熊本地震の影響を乗り越え4月分でも3カ月後方移動平均前月差は上昇しそうだ。5月分も3カ月後方移動平均は上昇しよう。「改善」に戻る条件を満たすのは、一致CIが0.1ポイントでも上昇となれば7月7日発表の5月分になろう。

●一方、景気の基調判断が「下方への局面変化」に悪化するには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月、または3カ月の累積)が1標準偏差分(0.85)以上」であることが必要だ。4月分一致CIの7カ月後方移動平均前月差はプラスに転じ、3カ月の累積でも▲0.14程度にとどまるものとみられ、景気の基調判断の下方修正はないとみる。

●4月分の先行DIは残る新設住宅着工床面積がプラス符号になれば55.6%程度で10カ月ぶりに景気の分岐点である50%超になる。速報値からデータが利用可能な9系列中、5月31日午前9時時点で数値が判明しているのは8系列で、そのうち最終需要財在庫率指数、新規求人数、日経商品指数、マネーストック、中小企業売上げ見通しDIの4系列が前月差プラス符号に、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列がマイナス符号になることが判明している。先行DIは44.4%以上55.6以下が既に確定している。残る、新設住宅着工床面積はプラス符号になると予測する。

●4月分の一致DIは25.0%程度で5カ月連続の50%割れというもたついた数字になると予測する。速報値からデータが利用可能な8系列で、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の2系列がプラス符号に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業の5系列がマイナス符号になることが判明している。一致DIは25.0%以上37.5%以下と50%割れが既に確定している。残る、中小企業出荷指数1系列は微妙だがマイナス符号になると予測する。