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2016年6月分機械受注

2016年8月10日

6月分の機械受注(除船電民需)前月比は+8.3%と3カ月ぶりの増加 -
-機械受注(製造業)は6月分景気動向指数CIの上方修正要因に-
-4~6月期前期比は見通し▲3.5%(3月末時点:熊本地震非考慮)を下回る▲9.2%-
-6月分の代理店受注前年同月比は+6.9%で11カ月連続増加-

●6月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+8.3%と3カ月ぶりの増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、5月分非鉄金属で原子力原動機の1件だったが、6月分はその他輸送用機械の航空機と、運輸業・郵便業の鉄道車両の2件だった。

●機械受注(除船電民需)の4~6月期・実績の前期比は▲9.2%と、見通しの▲3.5%を下回ったが、熊本地震や円高基調などがあった中で、2ケタの減少率は回避したことになる。

●6月分の製造業の前月比は+17.7%と3カ月ぶりの増加になった。製造業17業種中、12業種が増加で5業種が減少だった。

●6月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+2.1%と4カ月ぶりの増加になった。非製造業全体では前月比は0.0%になった。電力業の大型案件が、5月分にその他重電機1件があったが、6月分はなかった反動で、電力業の前月比は▲31.5%と2カ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。

●6月分の機械受注全体の大型案件は5件で、5月分の機械受注全体の大型案件の4件より1件多かった。民需以外は地方公務で1件、外需で2件だったという。内容は各々、その他産業機械、火水力原動機と航空機だった。

●6月分の外需の前月比は+10.8%で3カ月ぶりの増加になった。なお、4~6月期・実績の前期比は+3.7%と、見通しの+3.4%を上回った。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の6月分前月比は+12.5%と5カ月ぶりに増加した。6月分前年同月比は+6.9%と11カ月連続で増加し、足元の中小企業の機械の設備投資が底堅いことを裏付けている。6月分有効求人倍率が1.37倍と高水準で雇用環境が良い中、人手不足対策の設備投資も出やすい環境だ。昨年末放送の「下町ロケット」とNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」が連続してドラマアカデミー賞最優秀作品賞を受賞したことや、「あさが来た」の平均視聴率が23.5%で、2002年度前期放送の「さくら」の23.3%を抜いて今世紀最高を更新したこと、後番組の「とと姉ちゃん」の視聴率が7月20日に25.3%と「マッサン」の最高記録の25.0%を抜くなど引き続き高いことと整合的だ。前向きな経営者を応援する風潮が、中小企業の設備投資を後押しすることを期待したい。

●内閣府の基調判断は、15年7月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正された。さらに8月分では「機械受注は、足踏みがみられる」へと連続して下方修正となった。8月には中国発世界同時株安など企業心理を冷え込ませる状況が生じたからだ。9月分では判断据え置きだったが、10月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に判断が上方修正された。11月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、11月の実績は大きく減少した」となったが、これは機械受注(除船電民需)前月比が▲14.4%(当初)と2ケタの大幅な減少率なので、言及せざるをえなかったのだろう。

●内閣府の基調判断は、15年12月分・16年1月分・2月分・3月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で判断据え置きとなった。4月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」と11月分と同じ表現になったものの、持ち直しに重点が置かれていて、実質的に7カ月連続の判断据え置きになった。前回5月分では「機械受注は、足踏みがみられる」へと8カ月ぶりに下方修正となった。今回6月分も「機械受注は、足踏みがみられる」で判断据え置きになった。6月分が3カ月ぶりの増加であることや、昨年の7~9月期が見通しよりも実績が大きく下振れたことが影響しているのだろうか。

●7~9月期の機械受注(除船電民需)の前期比見通しは+5.2%である。7~9月期は達成率の計算手法が変更された2009年から14年まで6年連続上方修正、昨年は4~6月期が大きく上振れた反動もあり、実績が見通しの伸び率を大きく下回った。

●6月分景気動向指数・CI改定値で新たに改定値から加わる系列として、先行系列では実質機械受注(製造業)がある。実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は+0.63程度になるとみる。先行CI・改定値の前月差は、他のデータの確報値が速報値と変わらないとすると、+0.6程度と、速報値の0.0から上方修正になるとみた。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がマイナス符号で加わるので、75.0%程度と速報値の83.3%から下方修正になると予測する。景気判断の分岐点である50%は上回ろう。