2016年10～12月期実質GDP（第1次速報値）について

●１６年１０～１２月期実質ＧＤＰ成長率・第１次速報値は前期比＋０．２％、前期比年率＋１．０％と１２年１０～１２月期から７～９月期にかけて以来３年３カ月ぶりの４四半期連続のプラス成長になった。緩やかな景気回復基調が続いていることを示している。

●１６年の実質ＧＤＰ成長率は＋１．０％、名目ＧＤＰ成長率は＋１．３％になった。

●個人消費の前期比は概ね横這いでもたついたが、純輸出の前期比寄与度が＋０．２％と２四半期連続プラス寄与になった。

●１０～１２月期・第１次速報値の名目ＧＤＰ成長率は前期比＋０．３％、前期比年率＋１．２％と、こちらも４四半期連続のプラス成長になった。

●１０～１２月期・第１次速報値でＧＤＰの約６割を占める実質個人消費(民間最終消費支出)は前期比▲０．０％、実質家計最終消費支出は前期比▲０．１％となった。２月１０日に発表された内閣府の消費総合指数（ＧＤＰ統計の実質個人消費に近い考え方で算出されている指数）で１０～１２月期の前期比が▲０．２％だった。名目個人消費は前期比＋０．３％だった。台風による野菜高などが影響し、実質はほぼ横ばいになった可能性が大きい。

●雇用者報酬の前期比は名目＋０．５％、実質0．０％となった。名目は７四半期連続前期比増加となったが、実質は７四半期ぶりに前期比増加にならなかった。

●実質個人消費の内訳をみると、耐久財の前期比は＋１．４％と４四半期連続の増加になった。乗用車などがしっかりした伸びになったとみられる。半耐久財の前期比は▲２．１％と２四半期ぶりの減少になった。非耐久財の前期比は▲０．４％と３四半期連続の減少になった。サービスの前期比は＋０．１％となんとか３四半期連続の増加になった。

●実質設備投資７～９月期の前期比は＋０．９％と２四半期ぶりの増加になった。名目の前期比（季節調整済み）も＋０．９％と２四半期ぶりの増加になった。

●供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は▲１．２％で、需要側推計値（仮置き値）の名目原系列前期比は＋１．３％であると公表された。法人企業統計が出たときに比較することで、１６年１０～１２月期実質ＧＤＰ成長率・第２次速報値での設備投資予測の参考となる数字だ。

●実質住宅投資は前期比＋０．２％と、伸び率は大きく鈍化したものの４半期連続の増加になった。

●民間在庫投資の実質・前期比寄与度は▲０．１％だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫が前期比寄与度▲０．０％、仮置き値の原材料在庫は前期比寄与度▲０．０％、同じく仮置き値の仕掛品在庫は＋０．１％、残る流通在庫は前期比寄与度▲０．２％だった。

●実質政府最終消費支出は前期比＋０．４％と２四半期連続の増加。実質公共投資は、前期比▲１．８％と２四半期連続の減少だった。公的在庫投資の実質・前期比寄与度は０．０％であった。

●外需（純輸出）の前期比寄与度は＋０．２％と２四半期連続のプラス寄与になった。実質輸出は前期比＋２．６％と２四半期連続の増加になった。財は前期比＋２．２％と２四半期連続の増加になった。サービスは前期比＋４．２％と２四半期連続の増加になった。実質輸入の前期比は＋１．３％と５四半期ぶりの増加になった。財に関しては前期比＋０．９％と５四半期ぶりの増加、サービスは前期比＋２．８％と２四半期ぶりの増加になった。

●実質GDPに海外からの実質純所得と交易利得を加えた実質GNI(国民総所得)は前期比０．０％と横這いになった。小数点第２位までみると前期比＋０．０１％で辛うじて５四半期連続の増加にはなった。

●１０～１２月期のＧＤＰデフレーターの前年同期比は▲０．１％で、２四半期連続マイナスの伸び率になった。国内需要デフレーターの前年同期比は▲０．３％と、５四半期連続マイナスの伸び率になった。一方、１０～１２月期の季節調整済み前期比をみると、ＧＤＰデフレーターは＋０．１％で、３四半期ぶりにプラスの伸び率になった。国内需要デフレーターの前期比は＋０．２％と、６四半期ぶりにプラスの伸び率になった。

●１７年度の政府見通しの１６年度実績見込みは＋１．３％程度。これを達成するには残り１四半期で前期比年率＋１．２％（前期比＋０．２９％）が必要だ。達成可能な数字であろう。

●３月８日に発表される１０～１２月期第２次速報値では、３月１日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資などを中心にされる。

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。ＧＤＰの第１次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲０．３％であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、前年同期比マイナス寄与だった項目は大きい順に流通在庫、原材料在庫、製品在庫で流通在庫、原材料在庫の寄与が大きいようだ。また仕掛品在庫がプラス寄与だった模様だ。