ホームマーケット経済指標解説2016年12月分景気動向指数(速報値)

2016年12月分景気動向指数(速報値)

2017年2月7日

-一致CI前月差+0.1で4カ月連続上昇。14年3月分以来の高水準に-
-景気の基調判断は3カ月連続で「改善を示している」-
-一致DIは5カ月連続で景気判断分岐点50%超。2カ月連続の100.0%-

●12月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは+2.6と3カ月連続の前月差上昇となった。12月分の先行CIの指数水準は105.2となった。速報値からデータが利用可能な9系列で、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しの6系列が前月差プラス寄与に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積の3系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差+0.1と4カ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な8系列では生産指数、鉱工業生産財出荷指数、中小企業出荷指数、有効求人倍率の4系列が前月差プラス寄与に、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の4系列が前月差マイナス寄与になった。12月分の一致CIの指数水準は115.2である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年4月分の96.2よりは19.0ポイント高い水準で、直近のピークである消費税率引き上げ直前の14年3月分の117.8以来の高水準になった。

●一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は+0.90と5カ月連続して上昇した。7カ月後方移動平均の前月差は+0.70と4カ月連続の上昇になった。

●一致CIを使った景気の基調判断の近年の推移をみると、14年12月分で、「改善を示している。ただし、基調判断に用いている3カ月後方移動平均のこのところの変化幅は、大きいものではない」に「下方への局面変化」から上方修正された。「下方への局面変化」から「改善を示している」に戻るのは異例のパスということだった。15年1月分で、但し書きは消えて、「改善を示している」という判断継続になった。15年2月分~4月分でも、「改善を示している」という判断継続になったが、15年5月分で景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」に下方修正された。

●その後、15年6月分~16年9月分でも判断据え置きで、1年5カ月間もの間、同じ基調判断が続いていたが16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後11月分・12月分と同じ基調判断になった。「改善を示している」は12月分で3カ月連続だ。

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上」であることが必要だ。

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上」であることが必要だ。

●3か月後方移動平均や7か月後方移動平均の足元の動きから見て、1月分以降、にわかに基調判断が下方修正になる可能性は小さいだろう。

●景気動向指数・一致CIの第一の採用系列である生産指数(鉱工業)の基調判断は、16年8月分~10月分で「緩やかな持ち直し」になっていたが、11月分~12月分では「生産は持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。意図せざる在庫減少局面に入っていることが生産増につながる。鉱工業生産指数は16年10~12月期で3四半期連続増加した。17年1~3月期で4四半期連続増加が予測される。鉱工業生産指数の動向は、目先、景気動向指数・一致CIの上昇に寄与する局面が多いとみられる。

●今回12月分速報値では先行DIは77.8%と3カ月連続で、景気判断の分岐点である50%を上回った。また、一致DIは100.0%で5カ月連続50%超になった。全系列が3カ月前より改善していることを意味する100.0%は2カ月連続だ。

●12月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は0.00程度と予測する。機械受注の発表日は2月9日である。また在庫率関連データなどが2月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は+2.6程度と速報値と同程度となろう。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がプラス符号になるとみられ、80.0%程度と速報値の77.8%から上方修正になると予測する。

●12月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。確報値が速報値と同じだとすれば所定外労働時間指数は前月差▲0.5程度とマイナス寄与になろう。確報値の発表日は2月22日である。一致CI前月差は▲0.4程度と速報値の+0.1の上昇から下降に転じるとみた。但し、3か月後方移動平均と7か月後方移動平均の前月差は上昇であることに変わりはないとみられる。また、一致DIでは所定外労働時間指数が速報値と同じだとすればマイナス符号で加わることになり、他の指標の符号が不変なら、速報値の100.0%から低下し88.9%程度になろう。但し。5カ月連続50%超は変わらないだろう。

●1月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。4系列すべてが前月差プラス寄与になることが判明している。

●また、1月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は全てプラス符号になることが判明している。このため、1月分先行DI速報値は、44.4%以上100.0%以下が確定している。あと1系列プラス符号になれば、50%超である。