ホームマーケット経済指標解説2017年2月分景気動向指数(速報値)

2017年2月分景気動向指数(速報値)

2017年4月7日

-先行CI前月差▲0.5で5カ月ぶり下降。一致CI前月差+0.4で3カ月ぶり上昇-
-景気の基調判断は5カ月連続で「改善を示している」継続-
-「アベノミクス景気」は2月分まで51カ月間景気拡張局面なら長さは戦後3位タイ-
-先行DIは5カ月連続、一致DIは7カ月連続で景気判断分岐点50%超-

●2月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは▲0.5と 5カ月ぶりの下降となった。2月分の先行CIの指数水準は104.4となった。速報値からデータが利用可能な9系列で、最終需要財在庫率指数、日経商品指数、マネーストックの3系列が前月差プラス寄与に、鉱工業用生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しの6系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差+0.4と3カ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な7系列では、生産指数、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数の3系列が前月差プラス寄与に、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の4系列が前月差マイナス寄与になった。2月分の一致CIの指数水準は115.5である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年4月分の95.8よりは19.7ポイント高い水準で、直近のピークである消費税率引き上げ直前の14年3月分の117.7よりは2.2ポイント低い水準になった。

●一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は0.00と横ばいになった。7カ月後方移動平均の前月差は+0.48と6カ月連続の上昇になった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後11月分・12月分・17年1月分と同じ基調判断だった。今回2月分も「改善を示している」で5カ月連続して最高の判断が続いている。

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲1.00)以上」であることが必要だ。

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.84)以上」であることが必要だ。

●「足踏み」や「下方への局面変化」など3月分で、にわかに基調判断が下方修正になる可能性はないだろう。

●12年12月から始まった「アベノミクス景気」は17年2月分まで景気拡張局面だとすると51カ月間の長さになり、戦後3番目の長さであった86年12から始まったバブル景気の51カ月に並んだ。気の早い一部新聞報道では、3月分も「改善」判断になることを見込んで、単独3位の52カ月間の景気拡張期間になったと報じた。

●なお、今年の11月上旬に発表される9月分まで「改善」が続くと、65年11月から始まった「いざなぎ景気」の57カ月を抜き、景気拡張の長さは戦後単独第2位の58カ月となる。

●今回2月分速報値では先行DIは55.6%と5カ月連続で、景気判断の分岐点である50%を上回った。また、一致DIは57.1%で7カ月連続50%超になった。

●2月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は4月12日である。また在庫率関連データなどが4月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかも注目される。

●2月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。確報値の発表日は4月20日である。本日午前9時に発表された速報値の寄与は前月差+0.49程度とみられる。確報値も速報値と同じで、鉱工業生産指数などの確報値も速報値と同じなら、一致CIは+0.4から+0.8程度に上方修正、3カ月後方移動平均の前月差も0.00から+0.13程度に上方修正され、7カ月連続の上昇になるとみられる。また一致DIは57.1から62.5程度に上方修正されよう。

●3月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。全系列が前月差プラス寄与になることが判明している。

●また、3月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は全てプラス符号になることが判明している。このため、3月分速報値段階の先行DIは44.4%以上100.0%以下が確定している。あと1系列プラス符号になれば、50%超である。