ホームマーケット経済指標解説2017年3月分景気動向指数(速報値)

2017年3月分景気動向指数(速報値)

2017年5月10日

-先行CI前月差+0.8で2カ月連続上昇。一致CI前月差▲0.6で2カ月ぶり下降-
-景気の基調判断は6カ月連続で「改善を示している」継続-
-「アベノミクス景気」は3月分まで52カ月間景気拡張局面なら長さは戦後単独3位-

●3月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは+0.8と2カ月連続で前月差上昇となった。3月分の先行CIの指数水準は105.5となった。速報値からデータが利用可能な9系列で、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、中小企業売上げ見通しの7系列が前月差プラス寄与に、最終需要財在庫率指数と、▲0.00だが東証株価指数の2系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差▲0.6と2カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な7系列では、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の3系列が前月差プラス寄与に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数の4系列が前月差マイナス寄与になった。3月分の一致CIの指数水準は114.6である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年4月分の95.8よりは18.8ポイント高い水準で、直近のピークである消費税率引き上げ直前の14年3月分の117.6よりは3.0ポイント低い水準になった。

●一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は0.00と横ばいになった。7カ月後方移動平均の前月差は+0.42と8カ月連続の上昇になった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後11月分・12月分・17年1月分・2月分と同じ基調判断だった。今回3月分も「改善を示している」で6カ月連続して最高の判断が続いている。

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲1.04)以上」であることが必要だ。今月から「振幅」の目安が変更になった。

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.87)以上」であることが必要だ。

●4月分で、「足踏み」や「下方への局面変化」などに、にわかに基調判断が下方修正になる可能性はないだろう。

●12年12月から始まった「アベノミクス景気」は17年3月分で52カ月間の長さになり、戦後3番目の長さであった86年12から始まった「バブル景気」を超え、単独3位になった。

●今年の11月上旬に発表される9月分まで「改善」が続くと、65年11月から始まった「いざなぎ景気」の57カ月を抜き、景気拡張の長さは戦後単独第2位の58カ月となる。

●なお、景気拡張期間が12年2月からの「いざなみ景気」を上回り、74カ月の長さと戦後最長になるのは、新たな元号に変わる19年の、1月である。

●今回3月分速報値では先行DIは77.8%と2カ月ぶりに景気判断の分岐点である50%を上回った。また、一致DIは42.9%で2カ月ぶりに50%割れになった。

●3月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は5月17日である。また在庫率関連データなどが5月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかも注目される。

●3月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。確報値の発表日は5月23日である。速報値の寄与は前月差▲0.52程度とみられる。確報値も速報値と同じで、鉱工業生産指数などの確報値も速報値と同じなら、一致CIは▲0.6から▲1.0程度に下方修正、3カ月後方移動平均の前月差も0.00から▲0.13程度に下方修正になるとみられる。「改善」の基調判断は変わらない。また、所定外労働時間指数の確報値が速報値と同じだとすると、一致DIは42.9%から50.0%程度に上方修正されよう。

●4月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。中小企業売上げ見通しDIの1系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数3系列が前月差プラス寄与になることが判明している。

●また、4月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列でプラス符号は中小企業売上げ見通しDI・1系列、保合いが消費者態度指数1系列、マイナス符号は日経商品指数、東証株価指数2系列と判明している。4月分速報値段階の先行DIは16.7%以上72.2%以下が確定している。