ホームマーケット経済指標解説2017年5月分機械受注

2017年5月分機械受注

2017年7月10日

―5月分の機械受注(除船電民需)前月比は▲3.6%と2カ月連続の減少―
―5月分の機械受注(除船電民需)の大型案件、4月分に続き0件―
―基調判断が5月分に「足踏みがみられる」に下方修正されるのは2年連続―
―機械受注(除船電民需)4~6月期前期比は見通し▲5.9%は上回りそうだ―

●5月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲3.6%と2カ月連続の減少になった。内訳をみると、製造業の前月比は+1.0%の増加だが、非製造業の前月比は▲5.1%の減少だった。一方、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+0.6%と2カ月連続の増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、4月分に続き5月分も0件だった。

●5月分の製造業の前月比は+1.0%と4カ月連続の増加になった。製造業17業種中、8業種が増加で、減少は9業種だった。4~6月期の見通しは前期比▲1.1%の減少だが、残る6月分が前月比0%で、4~6月期の前期比実績は+5.6%の増加になる。鉱工業生産指数が増加基調を続けている中、製造業の機械受注はしっかりした動きになっている。

●5月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲5.1%と、3カ月連続の減少になった。非製造業全体では前月比+3.8%と3カ月ぶりの増加になった。電力業5月分は前月比+33.6%と2カ月連続の増加になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。運輸業・郵便業は前月比▲21.7%と2ケタの減少になったが4月分の前月比が+10.7%と高めだった反動と、人手不足対応の設備投資をどう計画するかを考慮中の局面で減少となった感じがする。一方、卸売業・小売業の5月分前月比は+13.4%と4カ月連続増加となっている。4~6月期の非製造業(除船電民需)の前期比見通しは▲9.6%と大幅マイナスになっているが、残る6月分が前月比+1.9%で達成できることになる。

●4月分の機械受注全体の大型案件は官公需1件(国家公務・電子計算機1件)だったが、今回5月分も外需3件にとどまった。

●4月分の外需の大型案件は0件だったが、今回5月分では、発電機、半導体等電子部品、航空機の3件だった。外需の5月分前月比は4月分の+17.4%の大幅増加の反動で▲5.2%の減少である。但し、前年同月比は+25.4%の大幅増加で2カ月連続の増加になった。4~6月期の外需の前期比見通しは+1.1%の増加になっているが、残る6月分が前月比0%で、4~6月期の前期比実績は+10.7%の増加と、増加率は拡大しそうだ。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は4月分で前月比▲2.0%と2カ月ぶりの減少になった。但し、5月分の前年同月比は+21.1%と4カ月連続の増加で底堅さを示唆した。4~6月期の代理店受注の前期比見通しは▲4.0%になっているが、残る6月分が前月比0%で、4~6月期の前期比実績は+2.9%の増加になりそうだ。

●内閣府の基調判断は、16年9月分で「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正となった。その後16年10月分・11月分・12月分・17年1月分・2月分・3月分・4月分で、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」と据え置きになったが、今回5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正となった。なお、昨年16年も5月分で8カ月ぶりに「機械受注は、足踏みがみられる」に下方修正となっていたので2年連続で同じパターンになった。昨年は2カ月後の7月分で上方修正となったが、今年も早々に上方修正になるものと思われる。

●4~6月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲5.9%の減少である。過去3四半期の達成率平均は100.9%で単純集計値を膨らませても減少になった。3月末時点では企業の先行き不透明感が強かったことが背景にありそうだ。4~6月期の機械受注(除船電民需)の見通しは達成率の計算方法を変更するまでは見通しを実績が上回った。しかし、季節調整値を使用するようになってからは下振れる年も出てきた。最近5年間は下振れ、上振れを交互に繰り返してきており、パターン通りだと今年は実績が見通しを上回る番だ。

●機械受注(除船電民需)の残る6月分が前月比0%なら、4~6月期の前期比実績は▲4.1%の減少と減少率は縮小になる。残る6月分が前月比▲3.5%なら、4~6月期の前期比実績は▲5.2%の減少と減少率は若干の縮小になる。このため、パターン通り今年は実績が見通しを上回りそうだ。なお4~6月期の前期比実績が横這いになるには、残る6月分の前月比+12.9%が必要で、実績の前期比がマイナスになるのはしかたがない状況のようだ。

●5月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる5月分実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は+0.03程度と僅かなプラスになるとみた。在庫率関連データなどが確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は速報値と同じ+0.6程度の上昇になりそうだ。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がプラスになるとみて、50.0%程度と速報値の44.4%から上方修正になり50%割れは回避されることになると予測する。