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2017年6月分機械受注

2017年8月10日

―6月分の機械受注(除船電民需)前月比は▲1.9%と3カ月連続の減少―
―6月分の機械受注(除船電民需)の大型案件、4月分・5月分に続き0件―
―基調判断が5月分・6月分2カ月連続「足踏みがみられる」になったのは2年連続―
―機械受注(除船電民需)4~6月期前期比は▲4.7%、見通し▲5.9%を上回る―
―機械受注(除船電民需)7~9月期前期比・見通し+7.0%、過去8回中7回上方修正―

●6月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲1.9%と3カ月連続の減少になった。内訳をみると、製造業の前月比は▲5.4%と5カ月ぶりの減少だが、非製造業の前月比は+0.8%と4カ月ぶりの増加だった。一方、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲5.2%と3カ月ぶりの減少になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、4月分・5月分に続き6月分も0件だった。

●6月分の製造業の前月比は▲5.4%と5カ月ぶりの減少になった。製造業17業種中、8業種が増加で、減少は9業種だった。4~6月期の見通しは前期比▲1.1%の減少だったが、実績は前期比+3.7%の増加になった。6月分では一服したものの、鉱工業生産指数が増加基調を続けている中、製造業の機械受注の基調はしっかりしたものであると思われる。

●6月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+0.8%と、4カ月ぶりの増加になった。非製造業全体では前月比+6.3%と2カ月連続の増加になった。電力業は前月比+3.9%と3カ月連続の増加になった。前月の5月分の前月比が+33.6%と高い伸び率なったのに6月分の前月比も増加になったのは、大型案件(火水力原動機)が1件あった影響もありそうだ。非製造業12業種中、9業種が増加で3業種が減少となった。

●運輸業・郵便業は5月分が前月比▲21.7%と2ケタの減少だったが6月分の前月比は+14.1%と反動もあり2ケタの増加となった。人手不足対応の設備投資などが出やすい局面であるように感じられる。なお、鉄道車両の6月分・前月比は▲1.6%となった。7~9月期の前年同期比の見通しは▲20.9%で4~6月期の実績の前年同期比▲39.5%に続き3四半期連続2ケタ減少と弱い動きが見込まれている。また、卸売業・小売業の6月分前月比は+5.4%と5カ月連続増加となっている。第4世代(4G)の通信設備への投資が一巡し5Gの設備投資がでるまでの狭間の期間に入っている通信業は5月分で前月比▲29.5%と大きく低下したが、6月分は前月比+28.8%と持ち直した。4~6月期の非製造業(除船電民需)の前期比見通しは▲9.6%だったが、実績は▲9.9%とほぼ見通し通りの大幅なマイナスになった。

●5月分の機械受注全体の大型案件は外需3件(発電機、半導体等電子部品、航空機の各1件ずつ)だったが、今回6月分は電力業1件、その他官公需1件(その他産業機械)の合計2件だった。

●4~6月期の外需の前期比見通しは+1.1%の増加になっていたが、前期比実績は+9.6%の増加と上振れた。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は6月分で前月比+3.6%と2カ月ぶりの増加になった。6月分の前年同月比は+11.6%と5カ月連続の増加で底堅さを示唆した。4~6月期の代理店受注の前期比見通しは▲4.0%だったが、前期比実績は+4.2%の増加と上振れた。人手不足対応の機械の設備投資が出ている可能性があろう。

●内閣府の基調判断は、16年9月分で「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正となった。その後16年10月分・11月分・12月分・17年1月分・2月分・3月分・4月分で、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」と据え置きになったが、前回5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正となり、6月分も同じ判断となった。なお、昨年16年も5月分で8カ月ぶりに「機械受注は、足踏みがみられる」に下方修正となり6月分も同じ判断だったので2年連続で同じパターンになった。昨年は2カ月後の7月分で上方修正となったが、今年も上方修正になるかが注目される。

●7~9月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+7.0%の増加である。過去3四半期の達成率平均は101.2%で単純集計値をやや膨らませている数字である。7~9月期の機械受注(除船電民需)の見通しは、達成率の計算方法に季節調整値を使用するようになった09年(平成21年)からの8年間で15年(平成27年)の1回だけ下振れで、残り7回は上振れた。製造業の7~9月期の見通しは前期比▲1.8%と減少見通しで一見弱そうだが、これは1~3月期の達成率が84.7%と低かったため過去3四半期の達成率平均が95.0%になっているからだ。5ポイント程度も単純集計値から割り引いてみているため、計画通りなら実績の前期比は増加になってもおかしくはない。なお、非製造業(除船電民需)の達成率はこの1年間安定して105%をやや上回る傾向が継続している。

●機械受注(除船電民需)の7月分から9月分の各前月比が0%なら、7~9月期の前期比実績は▲2.5%の減少になる。7月分から9月分の各前月比が+2.0%なら、7~9月期の前期比実績は+1.4%の増加になる。7~9月期の前期比実績が見通しの+7.0%を達成するには7月分から9月分の各前月比が+4.8%程度と高めの伸び率が必要な状況だ。

●6月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる6月分実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は▲0.24程度のマイナスになるとみた。在庫率関連データなどが確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は速報値の+1.6から下方修正され+1.2程度の上昇になりそうだ。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がマイナスになるとみて、50.0%程度と速報値の55.6%から下方修正になるものの50%割れは回避されると予測する。