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2017年7月分機械受注

2017年9月11日

―7月分の機械受注(除船電民需)前月比は+8.0%と4カ月ぶりの増加―
―7月分の機械受注(除船電民需)の大型案件、4~6月分に続き0件―
―基調判断は3カ月連続して「足踏みがみられる」に―
―機械受注(除船電民需)7~9月期見通し前期比+7.0%、8・9月分ゼロでも同+5.3%―

●7月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+8.0%と4カ月ぶりの増加になった。反動増の感が強い。前月比+4%~+5%程度だった市場予想の平均値はもとより、一番高い筆者の予測値同+7.0%をさらに上回る伸び率になった。内訳をみると、製造業の前月比は+2.9%と2カ月ぶりの増加に、非製造業(除船電民需)の前月比は+4.8%と2カ月連続の増加だった。一方、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲7.5%と2カ月連続の減少になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、4月分・5月分・6月分に続き、7月分も0件だった。企業行動の慎重さが窺えるようである。

●7月分の製造業の前月比は+2.9%と2カ月ぶりの増加になった。製造業17業種中、8業種が増加で、減少は9業種だった。6月分では一服したものの7月分ですぐに増加に転じた。鉱工業生産指数が増加基調を続けている中、製造業の機械受注の基調はしっかりしたものであると思われる。

●7月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+4.8%と、2カ月連続の増加になった。非製造業全体では前月比+1.7%と3カ月連続の増加になった。電力業は前月比▲28.2%と4カ月ぶりの減少になった。5月分の前月比が+33.6%と高い伸び率だったのに6月分の前月比も大型案件(火水力原動機)が1件あった影響で+3.9%と増加していた反動減と言えそうだ。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。

●運輸業・郵便業6月分前月比は+14.1%と2ケタの増加だったが、7月分も同+64.9%と高い伸び率になった。これは大型案件の船舶が1件あったためだ。また、6月分まで5カ月連続増加していた卸売業・小売業は7月分で一服となり、前月比▲6.5%と減少した。第4世代(4G)の通信設備への投資が一巡し5Gの設備投資がでるまでの狭間の期間に入っている通信業は5月分で前月比▲29.5%、6月分は前月比+28.8%、7月分で前月比▲21.0%と増減を繰り返している。

●6月分の機械受注全体の大型案件は電力業1件、その他官公需1件(その他産業機械)の合計2件だったが、今回7月分は運輸業・郵便業1件(船舶)、外需4件(火水力原動機、電子計算機等、鉄道車両、船舶)の合計5件だった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は7月分で前月比▲0.6%と2カ月ぶりの減少になった。7月分の前年同月比は+8.2%と6カ月連続の増加で底堅さを示唆した。

●内閣府の基調判断は、16年9月分で「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正となった。その後16年10月分~17年4月分で据え置きになったが、5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正となり、6月分・7月分と同じ判断となった。

●この夏は天候不順や国際情勢緊迫化などの不安材料が多かった。9月8日発表の「景気ウォッチャー調査」8月調査において、先行き判断で「不安」と答えた景気ウォッチャーは62人で不安関連DIは40.3と景気判断の分岐点50を大きく下回り最近3カ月で一番悪い結果になった(6月調査41人、47.6、7月調査60人、41.7)。日本経済のファンダメンタルズはしっかりだが、「不安なメンタル」ズが大きい状況だ。

●7~9月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+7.0%の増加である。過去3四半期の達成率平均は101.2%で単純集計値をやや膨らませている数字である。これを達成するには8・9月分で各々前月比+1.6%ずつ増加で達成できる。また8・9月分で各々前月比0.0%ずつなら7~9月期の実績は前期比+5.3%と3四半期ぶりに増加に転じる。内閣府の基調判断が上向くのは、早ければ11月9日発表の9月分あたりではないかと考える。

●7月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる7月分実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は+0.10程度のプラスになるとみた。在庫率関連データなどが確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は速報値の▲0.7と同程度の下降になりそうだ。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がマイナスになるが、本日発表のマネーストック統計で比較対象になる3カ月前の4月分の下方修正されたため、7月分のマネーストック(M2)が保合いからプラス符号に変わることになったので、現時点では、60.0%程度と速報値の61.1%から若干下方修正になるものの50%超は維持されると予測する。