ホームマーケット経済指標解説2017年10~12月期実質GDP(第2次速報値)について

2017年10~12月期実質GDP(第2次速報値)について

2018年3月8日

―実質GDP成長率は前期比年率+1.6%に同+0.5%から上方修正―
―民間設備投資は前期比+1.0%に同+0.7%から上方修正―
―民間在庫変動(前期比寄与度:▲0.1%→+0.1%)と上方修正―
―政府「平成30年度の経済見通し」の29年度(2017年度)実績見込み+1.9%は、1~3月期前期比年率+1.2%程度で達成―

●17年10~12月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比+0.4%、前期比年率+1.6%となった。第1次速報値の前期比+0.1%、前期比年率+0.5%から上方修正となった。プラス成長は8四半期連続だ。 

●外需主導の成長になった7~9月期と逆に、10~12月期は内需主導の成長になった。外需の前期比寄与度は▲0.0%で、2四半期ぶりのマイナス寄与だが内容は悪くない。輸出は前期比+2.4%と高い伸び率だが、輸入が同+2.9%とスマートフォン新型機の販売時期のズレ込みの影響もあり高めの伸び率だったからだ。一方、内需は第1次速報値では同+0.2%とのプラス寄与だったが、同+0.4%に上方修正され4四半期連続プラス寄与になった。 

●10~12月期・第2次速報値の名目GDP成長率は前期比+0.3%、前期比年率+1.1%となった。名目GDPの季節調整値は550.7兆円になった。 

●17暦年のGDP成長率は、実質が+1.6%から+1.7%へ、名目が+1.4%から+1.5%へとそれぞれ上方修正された。

●内訳をみると、第1次速報値から第2次速報値にかけて前期比ベースで変わらなかったのが、個人消費(+0.3%)、公的在庫変動(前期比寄与度:▲0.0%)、輸出(+2.4%)、輸入(+2.9%)だった。住宅投資(▲2.7%→▲2.6%)、設備投資(+0.7%→+1.0%)、民間在庫変動(前期比寄与度:▲0.1%→+0.1%)の民需の各項目が上方修正となった。また、政府最終消費(▲0.1%→▲0.0%)、公共投資(▲0.5%→▲0.2%)と公需は減少率が縮小する形で上方修正となった。 

●10~12月期の実質個人消費の内訳をみると、耐久財の前期比は+3.4%と2四半期ぶりの増加になった。半耐久財の前期比は+2.5%と2四半期連続の増加に、非耐久財の前期比は+0.1%と2四半期ぶりの増加に、サービスの前期比は+0.3%と2四半期ぶりの増加になった。4項目全てが増加になった。 

●10~12月期の名目設備投資・前期比は第1次速報値の+0.5%から、第2次速報値では同+0.8%へと上方修正された。供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+0.6%で第1次速報値での+0.7%から下方修正されたが、法人企業統計等により推計された需要側推計値の名目原系列前期比は+4.8%であると公表された。第1次速報値での仮置き値の+3.3%より強かったことがわかる。 

●10~12月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は+0.1%と第1次速報値の▲0.1%から大きく上方修正された。民間在庫変動の内訳をみると、前期比寄与度は製品在庫が+0.1%で第1次速報値と変わらなかった。流通在庫は前期比寄与度▲0.0%で第1次速報値と変わらなかった。一方、仮置き値で▲0.1%だった原材料在庫の前期比寄与度は0.0%に、同▲0.0%だった仕掛品在庫は同0.0%に、法人企業統計を受けて上方修正された。 

●第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.2%であったが、第2次速報値で+0.5%に上方修正された。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、第1次速報値では全系列がプラス寄与で、大きさの順は、製品在庫、原材料在庫、仕掛品在庫、流通在庫であったが、第2次速報値では全系列がプラス寄与で、大きさの順は、原材料在庫、仕掛品在庫、製品在庫、流通在庫となった模様だ。製品在庫は若干下方修正、流通在庫は若干上方修正だった模様だが、法人企業統計の発表を受けて、仮置き値だった原材料在庫、仕掛品在庫が第2次速報値で大きく上方修正されたとみられる。 

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、1~3月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲8,449億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲4,415億円であり、いまのところ民間在庫変動の実質・前期比寄与度はマイナスの可能性が大きいようだ。

●政府の「平成30年度の経済見通し」の29年度(2017年度)実績見込み+1.9%は、1~3月期前期比年率+1.2%程度で達成できる。また、1~3月期前期比年率0.0%なら、17年度は+1.8%になる。