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2018年1~3月期法人企業統計・設備投資などについて

2018年6月1日

―設備投資(除くソフトウェア)前期比▲0.0%、前年同期比+2.1%―
―1~3月期実質GDP成長率、第2次速報値でも第1次とほぼ変わらずか―

●18年1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+2.1%と10~12月期の前年同期比+4.7%からは2.6ポイント鈍化したものの、6四半期連続の増加になった。前期比は▲0.0%で微減だが3四半期ぶりの減少になった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは1~3月期の全産業の前年同期比は+3.4%だった。10~12月期の前年同期比+4.3%からは0.9ポイント鈍化した。 

●資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は▲4.2%で、10~12月期の前年同期比0.0%からは4.2ポイント鈍化した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+2.4%で、10~12月期の前年同期比+12.8%から10.4ポイント鈍化した。一方、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は+6.8%と、10~12月期の前年同期比+3.7%からは3.1ポイント改善した。

●供給サイドのデータに基づいて算出した18年1~3月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+3.1%で10~12月期の+4.1%から増加率が1.0ポイント鈍化していたが、今回の法人企業統計の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の10~12月期から1~3月期への前年同期比の落ち込みは2.6ポイントとGDPに比べ法人企業統計の方が鈍化幅が大きい。18年1~3月期GDP第1次速報値の名目設備投資の前期比(季節調整済み)は▲0.0%と6四半期ぶりの減少であるが、法人企業統計の前期比も▲0.0%でこちらは3四半期ぶりの減少だった。 

●1~3月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+11.4%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+26.4%であると公表されている。1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の名目原系列前期比は単純に計算すると、+28.5%で2.1ポイント増加率が大きくなった。 

●その他のデータをみると、1~3月期の個人企業の設備投資は業種により動きはまちまちだが総じてみると下方修正要因になりそうだ。一方、3月分の低めの前年同月比が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成は中立要因になりそうだ。 

●なお、GDPベースの設備投資の算出には固定資産の当期末・前期末の関係などを考慮する断層補正が加味されるが、前年同期比の鈍化幅を縮小する要因として働くとみた。

(在庫投資)

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると18年1~3月期は▲4兆6,694億円で17年1~3月期の▲4兆7,079億円から385億円の増加となった。原材料在庫は18年1~3月期は651億円で17年1~3月期の▲1,381億円から2,032億円の増加となった。合わせて2,417億円、前年同期に比べ増加した。 

●一方、18年1~3月期GDP第1次速報値の名目在庫投資・原数値は▲2兆5,137億円で17年1~3月期の▲2兆9,322億円から4,185億円の増加であった。18年1~3月期GDP第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.3%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、プラス寄与は大きい順に原材料在庫、製品在庫。マイナス寄与は大きい順に流通在庫、仕掛品在庫である模様だ。今回の法人企業統計からみると、仕掛品在庫は上方修正になるとみられる。

●18年1~3月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.1%だった。民間在庫投資の内訳をみると、流通在庫は前期比寄与度+0.1%、製品在庫が前期比寄与度+0.0%、また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は▲0.1%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同▲0.1%だった。なお、原材料在庫の方がマイナス寄与度は大きいということだった。

(18年1~3月期GDP・第2次速報値)

●18年1~3月期GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比+0.1%程度と第1次速報値の同▲0.1%から若干上方修正になるとみた。また、実質在庫投資の前期比寄与度は▲0.1%程度で、第1次速報値の同▲0.1%と同程度になろう。仕掛品在庫の上方修正に在庫投資全体の寄与度を変える力はないとみた。 

●また、公共工事出来高の前年同月比は1月分+2.2%、2月分+1.6%だったが、3月分の伸び率は+0.5%と増加率が鈍化した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は▲0.2%程度と第1次速報値の同0.0%から下方修正されるとみた。 

●18年1~3月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比▲0.2%程度、前期比年率▲0.6%程度と予測する。季節調整替えなどの影響もあり多少の振れはあるとしても、もたついた内容だった第1次速報値の前期比▲0.2%、前期比年率▲0.6%とあまり変わらないとみた。 

●なお、18年1~3月期の名目設備投資(季節調整値)は第1次速報値の87.3兆円から第2次速報値では87.4兆円程度に僅かに増加すると予測する。予測通りなら、94年以降で最高の97年10~12月期の88.2兆円に次ぐ水準になる。