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2018年1月分全国消費者物価指数について

2018年2月23日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.9%、13カ月連続上昇―
―同・生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比は+0.4%、7カ月連続上昇―
―生鮮食品除く食料や、コートなどの被服及び履物などが寄与度差拡大要因に―

●1月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として101.3となり、前年同月比は+1.4%と16カ月連続の上昇。前月比(季節調整値)は+0.4%と3カ月連続の上昇になった。 

●なお、前回まで26日を含む週の金曜日に全国消費者物価指数が公表されていたが、今回からは19日を含む週の金曜日に公表日が早まった。

●生鮮食品の前年同月比は+12.5%と、大雪や寒波の影響で12月分の+4.8%から上昇率を高めた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.35%となった。レタスの前年同月比は+131.1%の上昇だった。 

●「生鮮食品を除く食料」の1月分の前年同月比は+1.3%で、12月分の前年同月比+1.2%から上昇率を高めた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。 

●1月分のエネルギー全体の前月比は+0.2%と上昇したものの前年1月分の前月比が高かったため、前年同月比は+6.7%と12月分の+7.7%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.06%だった。 

●エネルギー分野の各項目の、総合指数の前年同月比に対する寄与度差はプロパンガスのゼロを除きマイナスであった。ガソリンの前年同月比は、前回12月分では+10.3%だったが、今回1月分では+8.8%に上昇率が鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03になった。プロパンガスの前年同月比は、前回12月分では+0.8%だったが、今回1月分では+1.2%に上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。一方、灯油の前年同月比は、12月分では+16.5%だったが、1月分では+9.6%に鈍化した。前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。原油市況動向が遅れて反映される都市ガス代の前年同月比は+5.6%と、12月分の+6.6%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。電気代の前年同月比は+6.4%と12月分の+6.7%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。 

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は1月分では前年同月比▲1.1%と、12月分の前年同月比▲1.5%から下落率が縮小したが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。また、家庭用耐久財は前年同月比▲2.0%で、12月分の前年同月比▲0.8%の下落から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。 

●1月分の宿泊料は前年同月比+1.0%で、12月分の前年同月比+0.7%から伸び率が若干高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。12月分は前年同月比▲0.4%の下落だった外国パック旅行費は、1月分では同+1.9%の上昇に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。 

●1月分の特徴的な動きは「被服及び履物」で前月比は▲3.7%とバーゲンが行われる月であるので下落したが前年1月分の同▲4.5%より下落率が小幅であった。ラニーニャ現象が発生していることもあり寒波の影響で冬物衣料の需要が出たとみられる。1月分の「被服及び履物」は前年同月比+0.5%で、12月分の前年同月比▲0.3%の下落から上昇に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。

●1月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は+2.7%と12月分の同+2.0%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は、+0.33%と物価上昇要因になった。但し、生鮮食品を除く財でみると前年同月比+1.7%と12月分の+1.8%から上昇率がやや鈍化し、12月分から1月分への寄与度差は▲0.02%だった。一方、サービスの前年同月比は+0.1%と12月分の同+0.1%と同程度の上昇率で、12月分から1月分への寄与度差は0.00%だった。なお、そのうちの一般サービスの総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%で、通信・教養娯楽関連サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差が+0.02%とプラスに転じたことが主因である。 

●また、実質賃金等の計算に使用する11月分の全国消費者物価指数・総合指数・持家の帰属家賃を除く総合・前年同月比は+1.7%と12月分の+1.3%から上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.33%だった。なお1月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.2%で12月分同▲0.2%と同じだった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。このため全国消費者物価指数・総合指数・持家の帰属家賃を除く総合・前年同月比の上昇の主因は生鮮食品も含む「食品」や「被服及び履物」である。実質賃金は1月分でも前年同月比マイナスになりそうだ。 

●1月分の生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数は100.4で、前年同月比は11月分・12月分と同じで3カ月連続+0.9%の上昇となった。前月比(季節調整値)は+0.2%だった。前年同月比は17年1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、13カ月連続の上昇になった。前年同月比の+0.9%は消費税率引き上げの影響(+2.0%)を除くと、2014年10月の+0.9%(消費税率引き上げの影響含む+2.9%)以来の上昇率である。 

●1月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は100.7で、前年同月比は12月分の+0.3%から0.1ポイント上昇し+0.4%になった。前月比(季節調整値)は+0.1%だった。前年同月比は13年10月分以来17年2月分まで41カ月連続で上昇が続いていたが、そこで途絶えた。17年3月分では▲0.1%と13年7月分の▲0.1%以来44カ月ぶりの下落だったが、4月分・5月分・6月分はともに0.0%で、7月分で+0.1%と5カ月ぶりの上昇に転じ、8~10月分で+0.2%、11~12月分で+0.3%に続き、7カ月連続の増加になった。前年同月比の+0.4%は、2016年8月の+0.4%以来の上昇率である。 

●ESPフォーキャスト調査・2月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、18年1~3月期+0.83%になった後、4~6月期+0.88%、7~9月期は+0.96%、10~12月期は+0.94%、19年1~3月期は+0.94%と緩やかな上昇を見込んでいる。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算では17年1~3月期▲0.1%の後、17年4~6月期は+0.4%とプラスに転じ、7~9月期は+0.7%のプラスになった。一方、日銀の需給ギャップは16年10~12月期+0.36%、17年1~3月期+0.69%、17年4~6月期は+1.18%、7~9月期は+1.35%と4四半期連続でプラスになっている。実質GDP成長率が前期比年率+0.5%だった17年10~12月期では改善が一服しそうだが、需給ギャップ(GDPギャップ)の改善基調は消費者物価指数の上昇要因になるものと思われる。 

●1月の内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は83.8%と16年9月の調査開始以来初の80%台になったが、2月では78.4%とやや減少した。一方、12月の日銀短観の「企業の物価見通し」は全規模・全産業でみると下げ止まり感、底打ち感が感じられる。 

●一進一退の局面はあろうが、息の長い景気拡張が継続する中、需給ギャップや予想物価上昇率は緩やかな上昇が期待される。 

●当面全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+0.9~+1.0%程度で推移するとみられる。 

●ESPフォーキャスト調査・2月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、18年1~3月期+0.83%になった後、4~6月期+0.88%、7~9月期は+0.96%、10~12月期は+0.94%、19年1~3月期は+0.94%と緩やかな上昇を見込んでいる。