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2018年2月分機械受注

2018年4月11日

―2月分機械受注(除船電民需)前月比は+2.1%と2カ月連続増加。堅調な動き―
―内閣府の基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置き―
―機械受注(除船電民需)1~3月期前期比見通しは3月分前月比▲17.4%以上で達成―
―機械受注(除船電民需)3月分前月比ゼロで、1~3月期前期比は+4.6%に―

●2月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+2.1%と2カ月連続の増加と、堅調な動きになった。内訳をみると、製造業の前月比は+8.0%と2カ月連続して強めの伸び率になった。非製造業(除船電民需)の前月比は0.0%と横這いになった。機械受注(除船電民需)の前年同月比は+2.4%と2カ月連続の増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、4月分・5月分・6月分・7月分と0件で、企業行動の慎重さが窺えるような状況であったが、8月分は「その他非製造業」の火水力原動機、9月分は「非鉄金属」の原子力原動機、10月分では「化学工業」の化学機械、11月分は「卸売業・小売業」の運搬機械と各々1件だった。その後12月分・1月分は0件だった。1月分まで17年度は0件か1件と少ないペースで推移してきた。 

●しかし、今回2月分では機械受注(除船電民需)の大型案件が3件に増えた。内訳は、「化学工業」の化学機械、「造船業」の内燃機関、「その他非製造業」の火水力原動機である。 

●2月分の製造業の前月比は1月分の+9.9%に続き+8.0%と2カ月連続の増加。製造業17業種中、10業種で増加した。減少は7業種だった。製造業の10~12月期・前期比は+3.5%で3四半期連続の増加。1~3月期も前期比▲7.0%の減少見通しを大幅にひっくり返し、3月分が前月比▲24.1%以上で、増加になる見込みだ。製造業の機械受注の基調はしっかりした状況にあると言えよう。 

●日銀短観3月調査で、製造業の18年度の設備投資計画は大企業で+4.9%、中堅企業で+15.6%、中小企業で▲0.1%と、この時期としてはかなりしっかりした数字となっていたが、2月分機械受注の動きは日銀短観と整合的だ。 

●一方、3月分の景気ウォッチャー調査では、3月に入って問題が顕在化した、貿易摩擦関連・先行き判断DIが32.5(10人)、国有地売却関連・先行き判断DIが35.0(10人)と景気判断の分岐点50を下回った。不安関連・先行き判断DIが39.4(59人)とかなり弱い数字となった。設備投資関連・現状判断DIが53.1(8人)なのに対し、設備投資関連・先行き判断DIが45.8(12人)となっており、先行きの不透明さが、折角良くなってきた機械受注、設備投資の動きを妨げないか、注視していく必要があろう。 

●2月分の非製造業(除船電民需)の前月比は1月分が+4.4%だった反動もあり、0.0%となった。前年同月比でみると、2月分は▲10.4%で11カ月連続の減少と弱めの基調が続いている。製造業は17年12月分こそ前年同月比+3.0%と鈍化したものの17年8月分~11月分と18年1月分~2月分の前年同月比は2ケタ増で、7カ月連続の増加であることと対照的だ。電力業の1月分は大型案件がゼロだったが今回2月分は4件で前月比+37.4%の増加となった。このため非製造業全体では前月比+12.2%で、こちらは3カ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。 

●大型案件は、前回1月分では合計4件であった。内訳は運輸業・郵便業の船舶、外需3件(電子計算機等2件、航空機1件)であった。電子計算機等という区分には半導体製造装置が含まれている。今回2月分では合計10件であった。内訳をみると、民需は前述した「除船電民需」の3件以外は電力業の4件(火水力原動機3件、その他重電機1件)だった。官公需は防衛省の船舶、外需は2件(電子計算機等、航空機各1件)である。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は2月分で前月比+3.3%と3カ月ぶりの増加になった。しかし、2月分の前年同月比は▲5.1%と2カ月ぶりの減少になった。 

●内閣府の基調判断は、17年8月分で「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に4カ月ぶりに判断が上方修正された。「足踏み」という言葉が入らない表現は16年8月分以来、1年ぶりだった。9月分・10月分に続き、11月分でも基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。12月分は、「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」で実質的に判断据え置きとなった。こうした表現は16年4月分の「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」以来であった。前回18年1月分では基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。今回2月分でも基調判断は「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは▲1.5%。1~3月期の前期比実績はかつて見通しを下振れることが多かったが、見通しに使う達成率の計算方法を変えた10年(平成22年)からの7年間で上振れ4回、下振れ3回とほぼ同じになっている。▲1.5%は3月分の前月比が▲17.4%以上で達成できる。3月分が前月比横這いなら1~3月期の前期比は+4.6%となる。今年は上方修正の可能性が大きそうだ。