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2018年6月調査 日銀短観 予測

2018年6月20日

―大企業・製造業・業況判断DI+21程度と2期連続悪化を予測―
―しかし、同・業況判断DIは+20台をキープし、21期連続「良い」超に―
―世界経済への不安感などマイナスに、但し景気の底堅さを裏付ける内容に―

●6月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+21程度と3月調査の+24から3ポイント程度低下するとみた。予測通り、低下なら2期連続だ。但し、13年6月調査以降21期連続して「良い」超のプラスは維持するとみた。足元、世界経済への不安感などからもたついた局面ではあるものの、息の長い緩やかな景気拡張局面は継続していることを示唆する数字にはなろう。 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+23程度とこちらは3月調査の+23と同水準になるとみた。非製造業は11年9月調査以降28期連続で「良い」超のプラスになろう。なお、今回の連続プラス期間28期の最高水準は15年9月調査・12月調査・17年12月調査(定例見直し後の新調査ベース、旧ベースは+23)の+25である。この水準には、あと2ポイント程度届かないと予測する。 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(6月調査)やロイター短観(6月調査)などを参考にした。

●6月15日に発表されたQUICK短観6月調査の調査期間は6月1日から6月12日である。製造業の業況判断DIは3月調査の+35から6ポイント低下の+29となった。また、非製造業DIは3月調査の+40から2ポイント低下の+38となった。

●6月20日に発表されたロイター短観6月調査の調査期間は6月4日から6月15日である。400社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の+28から1ポイント低下の+27となった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の+27から1ポイント低下の+26となった。 

●また、3月調査400社ベースの非製造業DIは3月調査の+35と同じ水準の+35となった。一方、200社ベースの非製造業の業況判断DIは3月調査の+34から3ポイント上昇の+37となった。

●なお、大企業・製造業の業況判断DIが予測通り+21程度なら、3月調査の「先行き見通し」+20を1ポイント上回ることになる。また大企業・非製造業が予測通り+23程度なら、12月調査の「先行き見通し」+20を3ポイント上回ることになる。足元の景況感は前回調査からもたついた動きになっても、前回調査時の先行き予想より製造業、非製造業ともに上振れることとなり、予想よりも良かったということになろう。 

●QUICK短観6月調査の製造業の9月までの「先行き見通し」は+31で6月実績の+29より2ポイント上昇の予想、非製造業の9月までの「先行き見通し」は+39で6月実績の+38から1ポイントの上昇予想である。 

●一方、ロイター短観6月調査の9月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+30と6月実績の+26から4ポイント上昇の見込み、製造業・200社ベースで+27と6月実績の+26から1ポイント上昇の見込み、非製造業・400社ベースの9月までの「先行き見通し」は+35と、6月実績の+35と変わらない見込み、非製造業・200社ベースの9月までの「先行き見通し」は+35と、6月実績の+37から2ポイントの低下予想である。 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業で6月実績比2ポイント上昇の+23程度、非製造業は6月実績比変わらずの+23程度と予測した。 

●6月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が+12程度と3月調査の+15から3ポイント程度低下すると予測した。非製造業は3月調査の+10から3ポイント程度低下し+7程度になるとみた。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。 

●なお、中小企業・非製造業の業況判断DIは13年12月調査で92年2月調査以来のプラスにようやく転じた後、14年12月調査を新しい調査対象企業(+1)でみると、この6月調査で19期連続マイナスではない状況が続くことになる。このマイナスではない状況の連続記録は87年9月調査から92年6月調査の20期連続以来でバブル期以来のことになる。雇用吸収力の大きい非製造業の業況判断DIの良さが、好調な雇用状況につながっていよう。 

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が3月調査52.1、4月調査52.5、5月調査51.8と景気判断分岐点の50を上回るものの、12月調査の57.8に比べると鈍化傾向にある。また、非製造業は3月調査53.0、4月調査52.9、5月調査53.9となっているが、こちらも12月調査の56.8に比べるともたつき傾向にある。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●中小企業・製造業の業況判断DIが+12程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」の+12と同水準になる。また中小企業・非製造業が+7程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」+5を2ポイント上回ることとなる。足元の景況感が製造業では事前の予想通り、非製造業では事前の予想通りかやや上振れとなろう。 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、景気の先行き不透明さが依然強い中では慎重な回答が多いように思われる。製造業で6月実績比2ポイント悪化の+10程度、非製造業は6月実績比5ポイント悪化の+2程度と予測した。非製造業では先行きをいつも慎重にみるというクセを考慮した。 

●2018年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+7.3%程度と予測した。3月調査の同+2.3%から伸び率が高まろう。過去の修正パターンや、最近の設備投資計画調査などを参考にした。 

●2018年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲7.4%程度と、3月調査の同▲16.8%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。

<6月調査日銀短観・予測値>

1)大企業

         6月製造業DI                         +21
       6月非製造業DI                          +23
         9月製造業DI                         +23
         9月非製造業DI                          +23
     2018年度設備投資計画(全産業)前年度比  +7.3%     

2)中小企業

        6月製造業DI                          +12
        6月非製造業DI                          +7
        9月製造業DI                          +10
        9月非製造業DI                          +2
      2018年度設備投資計画(全産業)前年度比  ▲7.4%