ホームマーケット経済指標解説2018年7~9月期実質GDP(第2次速報値)について

2018年7~9月期実質GDP(第2次速報値)について

2018年12月10日

―実質GDP成長率は前期比年率▲2.5%に同▲1.2%から下方修正―
―民間設備投資は前期比▲2.8%に同▲0.2%から大幅下方修正―
―平成29年度年次推計では平成6年度(94年度)より遡及改訂―
―内閣府年央試算+1.5%達成には残り2四半期・前期比年率+6.1%程度必要―

●18年7~9月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比▲0.6%、前期比年率▲2.5%となった。第1次速報値の前期比▲0.3%、前期比年率▲1.2%から下方修正となった。マイナス成長は2四半期ぶりだ。 

●平成29年度年次推計では家計最終消費支出の四半期推計において共通推計項目が拡充され、それに伴って需要側推計値と供給側推計値を加重平均する際のウェイト(統合比率)が見直しされ94年度より遡及改訂されている。また、四半期の季節調整系列は季節調整替えにより、94年1~3月期に遡り遡及改訂されている。 

●7~9月期・第2次速報値の名目GDP成長率は前期比▲0.7%、前期比年率▲2.7%となった。名目GDPの季節調整値は554兆円である。

●7~9月期の個人消費・前期比は、実質雇用者報酬の前期比が▲0.4%と3四半期ぶりの減少になったことに加え、自然災害の影響が大きく、前期比▲0.2%と2四半期ぶりの減少になった。第1次速報値の前期比▲0.1%からマイナス幅が拡大した。 

●7~9月期の実質個人消費の内訳をみると、耐久財の前期比は+0.2%と2四半期連続の増加になった。猛暑効果でエアコンが売れた。半耐久財の前期比は+0.8%と2四半期連続の増加に、非耐久財の前期比は+0.3%と微増だが5四半期ぶりの増加になった。財の消費は増加だったのに対し、サービスの前期比は天候不順の影響が大きく▲0.8%と4四半期ぶりの減少になった。 

●7~9月期の実質設備投資・前期比は第1次速報値の▲0.2%から、第2次速報値では同▲2.8%へと大きく下方修正された。8四半期ぶりの減少だ。法人企業統計が弱かったことが主因である。米中貿易摩擦や中国景気減速などへの不安感の高まりが、これまで堅調だった大企業の設備投資を幾分慎重にさせている可能性があるかもしれない。 

●7~9月期実質住宅投資は前期比+0.7%と2四半期ぶりの増加になった。第1次速報値の+0.6%からは上方修正された。 

●7~9月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%と第1次速報値の▲0.1%から上方修正された。民間在庫投資の内訳をみると、流通在庫は前期比寄与度▲0.1%と第1次速報値の▲0.2%から上方修正、また、仮置き値で▲0.0%だった原材料在庫の前期比寄与度は+0.0%に法人企業統計を受けて僅かに上方修正された。一方、製品在庫は前期比寄与度+0.1%、仕掛品在庫は前期比寄与度0.0%とどちらも第1次速報値と変わらなかった。 

●実質政府最終消費支出は前期比+0.2%で第1次速報値と変わらなかった。実質公共投資は、7~9月期は第1次速報値の▲1.9%から▲2.0%にマイナス幅がやや拡大した。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%で変わらなかった。 

●外需(純輸出)の前期比寄与度は第1次速報値と同じ▲0.1%、2四半期ぶりのマイナス寄与で変わらなかった。実質輸出は前期比▲1.8%、実質輸入の前期比は▲1.4%でこちらも変わらなかった。輸出のマイナスには自然災害によるインバウンドの一時的な減少が寄与しているが、米中貿易戦争、中国景気減速などの影響も出ているかもしれない。

●7~9月期のGDPデフレーターの前年同期比は▲0.3%、国内需要デフレーターの前年同期比は+0.7%の伸び率で第1次速報値と同じになった。一方、7~9月期の季節調整済み前期比はGDPデフレーターが▲0.1%と、第1次速報値の0.0より第2次速報値の方が0.1ポイント伸び率は鈍化したが、国内需要デフレーターの前期比は+0.3%のプラスの伸び率で第1次速報値と変わらなかった。 

●16年度の第2次年次推計値で実質GDP成長率は+0.9%と、7~9月期第1次速報値時点の+1.2%から0.3ポイント下方修正された。一方、17年度の第1次年次推計値で実質GDP成長率は+1.9%と7~9月期第1次速報値時点の+1.6%から0.3ポイント上方修正された。 

●17年度の実質GDP成長率見通し(内閣府年央試算)+1.5%は残り2四半期が各々前期比年率+6.1%程度(前期比+1.47%程度)ときわめて高い伸び率にならないと達成できないことになった。ちなみに、17年度から18年度へのゲタは+0.1%と第1次速報値の時と同じである。残り2四半期が各々前期比+0.5%成長(前期比年率+2%程度)でも、18年度の実質GDP成長率は、+0.7%と1%を下回ってしまう。

●第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.1%であったが、法人企業統計の発表を受けて第2次速報値で0.0%に上方修正された。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、マイナス寄与は原材料在庫、流通在庫で、製品在庫、仕掛品在庫はプラス寄与となっている模様だ。 

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、10~12月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲2,088億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲3,406億円である。