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2018年9月調査 日銀短観 予測

2018年9月13日

 ―大企業・製造業・業況判断DIは前回比横這い、非製造業は低下を予測―
―しかし、製造業・業況判断DIは、22期連続「良い」超に―
―景気は底堅さあるも、米中貿易摩擦や自然災害の負の影響感じられる内容に―

●9月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+21程度と6月調査の+21と同水準になるとみた。但し、13年6月調査以降22期連続して「良い」超のプラスは維持するとみた。景気は底堅さはあるものの、米中貿易摩擦や自然災害のマイナスの影響を感じられる内容になろう。 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+22程度とこちらは6月調査の+24から2ポイント程度低下するとみた。非製造業は11年9月調査以降29期連続で「良い」超のプラスになろう。 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(9月調査)やロイター短観(9月調査)などを参考にした。

●9月13日に発表されたQUICK短観9月調査の調査期間は8月30日から9月10日である。製造業DIは6月調査の+29から3ポイント上昇の+32となった。また、非製造業DIは6月調査の+38から1ポイント上昇の+39となった。

●同じく9月13日に発表されたロイター短観9月調査の調査期間は8月29日から9月10日である。QUICK短観やロイター短観ともに、9月6日に発生した北海道胆振東部地震の影響は回答が遅かった企業ではわかる範囲で回答に反映されたとみられる。9月調査400社ベースの製造業DIは6月調査の+26と同じ水準の+26となった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+26から5ポイント低下の+21となった。製造業のDIの変化方向はQUICK短観を含めて三者三様だ。 

●また、ロイター短観9月調査400社ベースの非製造業DIは6月調査の+35から2ポイント低下の+33となった。また、200社ベースの非製造業の業況判断DIは6月調査の+37から5ポイント低下の+32となった。非製造業のDIの変化方向はロイター短観とQUICK短観では逆である。

●なお、9月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り+21程度なら、6月調査の「先行き見通し」+21と同じ、事前の予想通りとなる。また大企業・非製造業が予測通り+22程度なら、6月調査の「先行き見通し」+21を1ポイント上回ることになる。足元の景況感が前回調査から低下する動きになっても、前回調査時の先行き予想より非製造業では上振れることとなり、予想よりも良かったということになろう。 

●QUICK短観9月調査の製造業の12月までの「先行き見通し」は+30で9月実績の+32より2ポイント低下の予想、非製造業の12月までの「先行き見通し」は+37で9月実績の+39から2ポイントの低下予想である。 

●一方、ロイター短観9月調査の12月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+32と9月実績の+26から6ポイント上昇の見込み、製造業・200社ベースで+26と9月実績の+21から5ポイント上昇の見込み、非製造業・400社ベースの12月までの「先行き見通し」は+32と、9月実績の+33から1ポイントの低下見込み、非製造業・200社ベースの12月までの「先行き見通し」は+30と、9月実績の+32から2ポイントの低下の予想である。 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業で9月実績比2ポイント上昇の+23程度、非製造業は9月実績比2ポイントの低下の+20程度と予測した。 

●9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が+13程度と6月調査の+14から1ポイント程度低下すると予測した。非製造業は6月調査の+8から3ポイント程度低下し+5程度になるとみた。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。 

●なお、中小企業・非製造業の業況判断DIは13年12月調査で92年2月調査以来のプラスにようやく転じた後、14年12月調査を新しい調査対象企業(+1)でみると、この9月調査で20期連続マイナスではない状況が続くことになる。このマイナスではない状況の連続記録は87年9月調査から92年6月調査の20期連続以来でバブル期以来のことになる。雇用吸収力の大きい非製造業の業況判断DIの良さが、好調な雇用状況につながっていよう。 

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が6月調査51.3、7月調査50.5、8月調査51.4と景気判断分岐点の50は上回るものの、概ね横這い傾向にある。また、非製造業は6月調査52.9、7月調査52.1、8月調査51.3と低下傾向にある。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●中小企業・製造業の業況判断DIが+13程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」の+14を1ポイント下回ることとなる。事前の見通しよりやや下振れとなろう。また中小企業・非製造業が+5程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」+5と同水準となる。足元の景況感が製造業では事前の見通しよりやや下振れ、非製造業では事前の予想通りとなろう。 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、景気の先行き不透明さが依然強い中では慎重な回答が多いように思われる。製造業で9月実績比3ポイント悪化の+10程度、非製造業は9月実績比4ポイント悪化の+1程度と予測した。非製造業では先行きをいつも慎重にみるというクセも考慮した。 

●2018年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+14.7%程度と予測した。6月調査の同+13.6%から伸び率が高まろう。過去の修正パターンや、日本政策投資銀行が8月1日に発表した設備投資計画調査や、内閣府・財務省が9月12日に発表した7~9月期の法人企業景気予測調査などを参考にした。 

●2018年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲4.8%程度と、6月調査の同▲11.8%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。

<9月調査日銀短観・予測値>

1)大企業

         9月製造業DI                         +21
       9月非製造業DI                          +22
         12月製造業DI                        +23
         12月非製造業DI                         +20
         2018年度設備投資計画(全産業)前年度比  +14.7%
    

2)中小企業

        9月製造業DI                         +13
        9月非製造業DI                         +5
        12月製造業DI                         +10
        12月非製造業DI                        +1
       2018年度設備投資計画(全産業)前年度比  ▲4.8%