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2018年10~12月期法人企業統計・設備投資などについて

2019年3月1日

―設備投資(除くソフトウェア)前期比+3.3%、前年同期比+5.5%―
―10~12月期実質GDP成長率、第2次速報値は法人企業統計受けて上方修正か―

●18年10~12月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+5.5%と、9四半期連続の増加になった。7~9月期の前年同期比+2.5%からは3.0ポイント伸び率が高まった。季節調整済み前期比は+3.3%で2四半期ぶりの増加になった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは10~12月期の全産業の前年同期比は+5.7%だった。7~9月期の前年同期比+4.5%からは1.2ポイント伸び率が高まった。

●資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は▲8.0%の減少で、7~9月期の前年同期比+1.6%の増加からは9.6ポイント悪化した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+2.2%で、7~9月期の前年同期比+4.3%から2.1ポイント鈍化した。一方、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は+13.7%と、7~9月期の前年同期比+6.0%から7.7ポイントと大幅に改善した。全数調査の大企業の改善はそのままGDPの需要サイドの設備投資の改善につながろう。

●供給サイドのデータに基づいて算出した18年10~12月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は+4.3%で7~9月期の+2.1%から増加率が2.2ポイント改善していたが、今回の法人企業統計の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の7~9月期から10~12月期への前年同期比の改善幅は3.0ポイントなので、GDPに比べ法人企業統計の方がやや大きい。18年10~12月期GDP第1次速報値の名目設備投資の前期比(季節調整済み)は +2.7%と2四半期ぶりの増加であるが、法人企業統計の前期比は+3.3%でこちらも2四半期ぶりの増加だった。

●10~12月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+6.0%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+5.9%であると公表されている。法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)に設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の名目原系列前期比+5.9%を当てはめると、10~12月期の前年同期比は、7~9月期の+2.5%から伸び率が僅かに上昇し+2.7%程度である。実際に発表された法人企業統計では2.8ポイント高い+5.5%になった。

●その他のデータをみると、10~12月期の個人企業の設備投資は業種により動きはまちまちで、製造業などは上方修正要因にまるものの、サービス業などの下方修正要因がやや勝りそうだ。また、12月分が10・11月分平均よりやや鈍化した前年同月比が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成も下方修正要因になりそうだ。

●なお、GDPベースの設備投資の算出には固定資産の当期末・前期末の関係などを考慮する断層補正が加味され、今回は下振れ要因になるとみられるが、大企業の前年同期比の改善が大きいことから全体としてはそれほど鈍化要因としては働かないとみた。

(在庫投資)

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると18年10~12月期は3兆6,090億円で17年10~12月期の3兆0,634億円から5,455億円の増加となった。原材料在庫は18年10~12月期は4,448億円で17年10~12月期の8,502億円から4,053億円の減少となった。合わせて1,402億円、前年同期に比べ増加した。

●一方、18年10~12月期GDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は1兆129億円で17年10~12月期の1兆6,906億円から6,777億円の減少であった。18年10~12月期GDP第1次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は▲0.4%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、マイナス寄与の大きい順に製品在庫、原材料在庫、仕掛品在庫で、流通品在庫はプラス寄与となっている模様だ。今回の法人企業統計からみると、仕掛品在庫は上方修正要因になるとみられる。

●なお、18年10~12月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.2%だった。民間在庫投資の内訳をみると、流通品在庫は前期比寄与度+0.1%と唯一のプラス寄与となった。製品在庫は前期比寄与度▲0.2%とマイナス寄与となった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は▲0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同▲0.1%だった。

(18年10~12月期GDP・第2次速報値予測)

●3月8日に発表される10~12月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や民間在庫変動などを中心に改定される。

●18年10~12月期GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比+2.5%程度と第1次速報値の同+2.4%からやや上方修正になるとみた。また、実質民間在庫変動の前期比寄与度は▲0.1%程度と、第1次速報値の▲0.2%からマイナス幅が縮小するとみた。

●また、公共工事出来高の前年比は10~11月分平均が▲4.7%だったが、10~12月期の前年比は▲5.0%とマイナス幅が拡大した。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は▲1.4%程度と第1次速報値の▲1.2%からマイナス幅がやや拡大するとみた。

●18年10~12月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.5%程度、前期比年率+1.8%程度と予測する。季節調整替えなどの影響もあり予測値はある程度幅を持ってみる必要があるが、第1次速報値の前期比+0.4%、前期比年率+1.4%から上方修正されるとみた。