ホームマーケット経済指標解説2018年10~12月期実質GDP(第1次速報値)について

2018年10~12月期実質GDP(第1次速報値)について

2019年2月14日

―実質GDP成長率は前期比年率+1.4%、2四半期ぶりのプラス成長―
―実質個人消費:前期比+0.6%、設備投資:同+2.4%、輸出:同+0.9%―
―自然災害の影響なくなり、個人消費、設備投資が持ち直し、輸出の伸びは弱め―
―政府経済見通し18年度実績見込み+0.9%には、残り1四半期前期比年率
+6.2%(前期比+1.50%)が必要。実績は下振れか―

●18年10~12月期実質GDP成長率・第1次速報値は前期比+0.3%、前期比年率+1.4%となった。7~9月期の前期比年率▲2.7%のマイナス成長率をもたらした自然災害の影響がなくなり、個人消費や設備投資などが持ち直した。輸出は前期比プラスに転じたものの、中国経済の減速などを背景に、中国を中心としたアジア向けの輸出が弱く、前期比+0.9%と7~9月期の▲1.4%の落ち込みはカバーできなかった。輸入の前期比が+2.7%と堅調だったので、外需の寄与度は▲0.3%と3四半期連続のマイナス寄与になった。

●18年の実質GDP成長率は前年比+0.7%、名目GDP成長率は前年比+0.6%となった。実質GDP成長率、名目GDP成長率とも前年比は7年連続の増加となった。 

●先行きについては、消費者マインドが10月以降低下基調にあり、暖冬をもたらすエルニーニョ現象が発生している中、1~3月期の個人消費がどう出てくるか注目される。実質国内家計最終消費支出に近い概念の消費総合指数では、10~12月期から1~3月期へのゲタは▲0.4%のマイナスである。最大の需要項目の個人消費がもたつくなら、景気は足踏み状態が足元続くことになろう。また、通商問題の動向が世界経済に与える影響、足元の中国景気の減速など、海外発の景気下振れ要因を注視する必要がある状況は続きそうだ。

●10~12月期の名目GDP成長率は前期比+0.3%、前期比年率+1.1%と、2四半期ぶりにプラス成長になった。

●10~12月期の実質個人消費・前期比は+0.6%と2四半期ぶりの増加になった。実質家計最終消費支出の前期比も+0.6%と増加である。実質国内家計最終消費支出の内訳をみると、耐久財の前期比は+3.3%と3四半期連続の増加になった。半耐久財の前期比は+1.8%と3四半期連続の増加になったが、一方、非耐久財の前期比は▲1.2%と2四半期ぶりの減少になった。7~9月期では自然災害の影響からレジャーなどが落ち込み減少だったサービスの前期比が+1.0%と2四半期ぶりの増加になった。

●10~12月期では、実質雇用者報酬の前期比が+0.7%と2四半期ぶりの増加になった。

●10~12月期の実質設備投資・前期比は+2.4%と2四半期ぶりの増加になった。名目の前期比(季節調整済み)は+2.7%とこちらも2四半期ぶりの増加にになった。

●供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+6.0%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+5.9%であると公表された。法人企業統計が出た時に比較することで、10~12月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資予測の参考となる数字だ。

●10~12月期実質住宅投資は前期比+1.1%と、2四半期連続の増加になった。消費増税の駆け込み需要に対応した動きがみられたようだ。

●10~12月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.2%だった。民間在庫投資の内訳をみると、流通品在庫は前期比寄与度+0.1%と唯一のプラス寄与となった。製品在庫は前期比寄与度▲0.2%とマイナス寄与となった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は▲0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同▲0.1%だった。

●10~12月期実質政府最終消費支出は前期比+0.8%だった。一方、実質公共投資は前期比▲1.2%の減少になった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%であった。

●10~12月期外需(純輸出)の前期比寄与度は▲0.3%と3四半期連続マイナス寄与になった。実質輸出は前期比+0.9%と2四半期ぶりの増加になった。財は前期比+1.4%、サービスは前期比▲1.3%の減少だった。実質輸入の前期比は+2.7%と2四半期ぶりの増加になった。財に関しては前期比+3.3%と増加、サービスは前期比+0.4%の増加になった。

●10~12月期のGDPデフレーターの前年同期比は▲0.3%のマイナスの伸び率になった。国内需要デフレーターの前年同期比は+0.5%とプラスの伸び率になった。一方、10~12月期の季節調整済み前期比をみると、GDPデフレーターは▲0.1%で、国内需要デフレーターの前期比は+0.1%になった。

●政府経済見通し18年度実績見込み+0.9%には、残り1四半期(1~3月期)前期比年率+6.2%(前期比+1.50%)と高めの伸び率になることが必要で、ハードルが高い。ESPフォーキャスト調査(2月調査)では1~3月期の実質GDP成長率見通し前期比年率の平均値は+1.34%、高位8人の平均でも、+2.14%であり、18年度の実質GDP成長率の実績は実績見込みを下回る可能性が高そうだ。なお、17年度から18年度へのゲタは+0.3%だ。

●3月8日に発表される10~12月期第2次速報値では、3月1日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資などを中心に改定される。

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.4%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、マイナス寄与の大きい順に製品在庫、原材料在庫、仕掛品在庫で、流通在庫はプラス寄与となっている模様だ。