ホームマーケット経済指標解説2018年10月分景気動向指数(速報値)

2018年10月分景気動向指数(速報値)

2018年12月7日

-先行CI前月差+0.9と2カ月ぶり上昇、一致CI前月差+2.9と2カ月ぶり上昇-
-先行DI・55.6%、一致DI・85.7%でともに景気分岐点50%超に-
-一致CI3カ月後方移動平均前月差+0.66、基調判断「改善」まで、あと2カ月-

●10月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差+0.9と2カ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積の3系列が前月差プラス寄与に、新規求人数、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差+2.9程度と2カ月ぶりの上昇になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の6系列が前月差プラス寄与に、自然災害が落ち着き、求職者が増加したことで低下となった有効求人倍率1系列が前月差マイナス寄与になった。 

●10月分の一致CIの指数水準は2015年=100として104.5になった。なお、直近のピークは17年12月分の105.1で、足元の水準は、0.6ポイント低い。104.5は18年では最高の水準である。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差+0.66ポイントで、4カ月ぶりの上昇になった。夏場の自然災害などによるもたつきが解消されつつある感がする。7カ月後方移動平均は前月差+0.23ポイントの上昇で、2カ月ぶりの上昇になった。 

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、16年10月分でそれまでの「足踏みを示している」から「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~18年8月分まで23カ月連続して同じ最高の基調判断で推移してきていた。しかし、前回9月分で「足踏みを示している」へ24カ月ぶりに基調判断が下方修正された。

●景気動向指数の基調判断が「改善を示している」という最上位の景況判断に戻るには、3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が上昇、かつ当月の前月差の符号がプラスであることが必要だ。10月分の前月差が+2.9と大幅上昇なので11月分の前月差が仮に9月分の▲1.1程度の下降となっても3カ月後方移動平均は上昇となる。12月分の前月差が0.1ポイント上昇すれば、10~12月分で3カ月連続3カ月後方移動平均が上昇という条件を満たすことになり「改善を示している」に戻る。12月分速報値が公表されるのは19年2月7日である。戦後最長の景気拡張期間タイとなる12月分で「改善を示している」という判断に戻ることになる。 

●今回10月分速報値では、先行DIは55.6%程度と5カ月ぶりに50%を上回った。一方、一致DIは85.7%で、こちらは景気判断の分岐点の50%を4カ月ぶりに上回った。 

●10月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は12月12日である。また在庫率関連データが12月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

●10月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値段階の所定外労働時間指数は99.0で9月分の96.7から2.3ポイント高い数字であり、前月差はプラス寄与と言える。また、DIの符号はプラスである。他の系列の符号が変わらなければ一致DIは87.5%程度と速報値の85.7%から上方修正されると予測される。改定値では確報値の数字が使われるが、確報値の発表日は12月21日であるので、どう修正されるか注目される。また、生産指数関連データなどが12月14日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●11月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。中小企業売上げ見通しDI1系列がプラス寄与で、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列が前月差マイナス寄与になり、4系列の寄与度の合計はマイナスになることが判明している。 

●また、11月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は、中小企業売上げ見通しDI1系列がプラス符号に、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列がマイナス符号になることが判明している。11月分速報値段階の先行DIは11.1%以上66.7%以下が確定している。