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2018年10月分機械受注

2018年12月12日

―10月分機械受注(除船電民需)前月比+7.6%、前年同月比+4.5%と増加に転じた―
―10月分内訳、製造業前月比+12.3%、非製造業前月比+4.5%と両方とも増加―
―10~12月期も前期比+3.6%の増加見込みだが、達成するかどうかは11月分次第―
―基調判断「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正。3カ月移動平均連続低下で―

●10月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+7.6%と2カ月ぶりの増加になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+4.5%で2カ月ぶりの増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回9月分に続き、今回10月分も0件だった。 

●10月分の製造業の前月比は+12.3%と2カ月ぶりの増加。製造業17業種中、12業種で増加し、減少は5業種だった。 

●10月分の実質機械受注・製造業の前月比が2ケタの増加になったことから、景気動向指数・確報値での先行CI前月差は、速報値の+0.9から現状では上方修正される可能性が大きくなった。10月分の先行DIは、実質機械受注・製造業はマイナス符号で新たに加わることになりそうだ。他の系列の符号が速報値段階と変わらなければ、55.6%から50.0%に下方修正され、5カ月ぶりの50%超えならずに変更になるとみられる。 

●10月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+4.5%と2カ月ぶりの増加になった。電力業の10月分は、1件の大型案件があり前月比は+51.4%の増加になった。そのため、非製造業全体では前月比+15.2%と2ケタの伸び率になり、こちらも2カ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。 

●大型案件は、前回9月分では合計13件だった。内訳をみると、民需は4件。内訳は電力業の3件(原子力原動機1件、火水力原動機1件、その他重電機1件)と運輸業・郵便業の1件(船舶)だった。官公需は5件。内訳は、防衛省2件(航空機)、国家公務1件(電子計算機等)、地方公務1件(その他産業機械)、その他官公需1件(その他産業機械)だった。外需は4件(航空機3件、鉄道車両1件)であった。今回10月分では合計4件にとどまった。内訳をみると、民需は2件。内訳は電力業の1件(発電機)と建設業の1件(船舶)だった。官公需は1件。内訳は、防衛省1件(船舶)。外需は1件(化学機械)であった。 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は10月分で前月比+7.8%と2カ月連続の増加となった。前年同月比も+12.6%と2カ月連続の増加になった。 

●外需は10月分で前月比+15.5%と2カ月ぶりの増加となった。前年同月比は+5.2%と3カ月ぶりの増加となった。 

●内閣府の基調判断は、18年1月分~3月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で据え置きになった。4月分では「機械受注は、持ち直している」に8カ月ぶりに判断が上方修正された。5月分では「機械受注は、持ち直している」で据え置きになった。6月分では3カ月移動平均が6カ月ぶりに下落したことなどから「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に13カ月ぶりの下方修正になった。7月分でも「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」と判断据え置きになった。3カ月移動平均が2カ月連続で下落していたためだ。8月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。「機械受注は、持ち直している」よりは弱い表現だが、5カ月前の判断に戻ったかたちだ。

●前回9月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、9月の実績は大きく減少した」と変更になった。これは17年11月分の基調判断が「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」であったのに対し、17年12月分は、「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、12月の実績は大きく減少した」と変更になったが、実質的には判断据え置きとなったことと同じであった。こうした表現は16年4月分の「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、4月の実績は大きく減少した」でもみられた。 

●今回10月分では3カ月移動平均が2カ月連続して下落したことから「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正になった。この表現は6月分・7月分以来である。

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比見通しは+3.6%である。伸び率を達成するためには残り2カ月各前月比+7.9%が必要だ。また、前期比ゼロのためには各前月比が+4.3%必要だ。09年(平成21年)からの9年間で上振れ7回、下振れ2回となっている。関連データの工作機械受注・内需は11月分速報値で前年同月比+6.3%で10月分の同+1.7%から伸び率を高めている。11月分の機械受注(除船電民需)前月比はそれなりのプラスの伸び率になりそうだ。10~12月期は前期比実績が見通しより上振れる可能性が大きい四半期ではあるものの、今年もそうなるかどうかは11月分の結果次第と言えそうだ。 

●機械受注(除船電民需)は、貿易戦争や中国経済の先行きが不透明なことから設備投資を手控える企業もあるとみられるが、企業収益が足元堅調な中、AI化に対応した投資など今やらないと将来に禍根を残す分野もある。また雇用環境がしっかりしているため人手不足対応の投資もやらざるを得ないだろう。 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きを紹介しよう。10月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(回答したウォッチャー:10人)、設備投資関連・先行き判断DIが42.5(同10人)である。11月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同10人)、設備投資関連・先行き判断DIが47.2(同9人)である。現状判断は50という景気判断の分岐点を上回っているが、先行き判断は2カ月連続して50を下回った。「国内の人手不足の対応に対する投資意欲は順調で、当面は今の状況は続くと思われる。」(11月、東海、電気機械器具製造業(企画担当))というコメントがある一方で、「米中の貿易戦争により、先行きが不透明と感じている経営者が増えている。設備投資のほか、不動産の購入、賃貸を控えるなど、様子を見る企業が増えるため、景気は来年に向けて弱含んでくる。」(11月、近畿、不動産業(営業担当))というコメントに代表されるような見方が出てきている。