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2018年12月調査 日銀短観 予測

2018年12月6日

―大企業・製造業・業況判断DIは4期連続低下を予測、但し23期連続「良い」超―
―中小企業・業況判断DIは製造業・非製造業ともプラス(「良い」超)を予測―
―米中貿易戦争や中国景気鈍化などの負の影響が感じられる内容に―

●12月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+13程度と9月調査の+19から6ポイント程度低下するとみた。4期連続の低下で、米中貿易戦争や中国景気鈍化などの負の影響が感じられる内容になろう。但し、13年6月調査以降23期連続して「良い」超のプラスは維持し、景気の底堅さは感じられる数字になるとみた。 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+20程度とこちらは9月調査の+22から2ポイント程度低下するとみた。4期連続の低下になろう。但し、非製造業は11年9月調査以降30期連続で「良い」超のプラスになろう。 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(12月調査)やロイター短観(12月調査)などを参考にした。

●12月6日に発表されたQUICK短観12月調査の調査期間は11月21日から12月3日である。製造業DIは9月調査の+32から12ポイント低下の+20となった。また、非製造業DIは9月調査の+39から4ポイント低下の+35となった。

●同じく12月6日に発表されたロイター短観12月調査の調査期間は11月20日から12月3日である。12月調査400社ベースの製造業DIは9月調査の+26から3ポイント低下し+23となった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは9月調査の+21から7ポイント低下の+14となった。製造業のDIの変化方向はQUICK短観を含めて全て低下だが、低下幅は三者三様である。 

●また、ロイター短観12月調査400社ベースの非製造業DIは9月調査の+33から2ポイント低下の+31となった。また、200社ベースの非製造業の業況判断DIは9月調査の+32から4ポイント低下の+28となった。非製造業のDIの変化方向はロイター短観とQUICK短観とも全て比較的小幅な低下である。

●なお、12月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り+13程度なら、9月調査の「先行き見通し」+19を6ポイント下回ることになる。事前の予想を大幅に下回り、思った以上に景況感がかなり下振れたことになる。また大企業・非製造業が予測通り+20程度なら、9月調査の「先行き見通し」+22を2ポイント下回ることになる。前回調査時の先行き予想より非製造業でも下振れることとなり、予想よりもやや悪かったということになろう。 

●QUICK短観12月調査の製造業の3月までの「先行き見通し」は+18で9月実績の+20より2ポイント低下の予想、非製造業の3月までの「先行き見通し」は+31で12月実績の+35から4ポイントの低下予想である。 

●一方、ロイター短観12月調査の3月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+22と12月実績の+23から1ポイント低下の見込み、製造業・200社ベースで+14と12月実績の+14と同水準になる見込み、非製造業・400社ベースの3月までの「先行き見通し」は+30と、12月実績の+31から1ポイント低下の見込み、非製造業・200社ベースの3月までの「先行き見通し」は+30と、12月実績の+28から2ポイント改善の予想である。 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの3月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業で12月実績比1ポイント低下の+12程度、非製造業は12月実績比1ポイントの低下の+19程度と予測した。 

●12月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が+8程度と9月調査の+14から6ポイント程度低下すると予測した。非製造業は9月調査の+10から2ポイント程度低下し+8程度になるとみた。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなども参考にして予測した。 

●なお、中小企業・非製造業の業況判断DIは13年12月調査で92年2月調査以来のプラスにようやく転じた後、14年12月調査を新しい調査対象企業(+1)でみると、この12月調査で21期連続マイナスではない状況が続くことになる。このマイナスではない状況の連続記録は87年9月調査から92年6月調査の20期連続というバブル期の記録を抜くことになる。雇用吸収力の大きい非製造業の業況判断DIの底堅さが、好調な雇用状況につながっていよう。 

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が8月調査51.4、9月調査49.8、10月調査50.1と景気判断分岐点の50前後の水準での横這い推移が続いている。また、非製造業は8月調査51.3、9月調査51.3、10月調査52.7と足元は持ち直し傾向にある。景気ウォッチャー調査の動きからは自然災害の影響は薄らいできたと判断される。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●中小企業・製造業の業況判断DIが+8程度と予測通りなら、9月調査の「先行き見通し」の+11を3ポイント下回ることとなる。事前の見通しより下振れとなろう。また中小企業・非製造業が+8程度と予測通りなら、9月調査の「先行き見通し」+5を3ポイント上回り、景況感が事前に思ったほど悪化しなかったことになろう。 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの3月までの「先行き見通し」は、景気の先行き不透明さが依然強い中では慎重な回答が多いように思われる。製造業で12月実績比2ポイント悪化の+6程度、非製造業は12月実績比5ポイント悪化の+3程度と予測した。非製造業では先行きをいつも慎重にみるというクセも考慮した。 

●2018年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+12.2%程度と予測した。9月調査の同+13.4%から伸び率が高水準ながら鈍化しよう。過去の修正パターンや、日本経済新聞社が12月1日に発表した設備投資計画修正計画などを参考にした。 

●2018年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲4.0%程度と、9月調査の同▲8.4%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。

<12月調査日銀短観・予測値>

1)大企業

         12月製造業DI                          +13
       12月非製造業DI                          +20
         3月製造業DI                          +12
         3月非製造業DI                           +19
         2018年度設備投資計画(全産業)前年度比  +12.2%
    

2)中小企業

        12月製造業DI                         +8
        12月非製造業DI                         +8
        3月製造業DI                           +6
        3月非製造業DI                          +3
      2018年度設備投資計画(全産業)前年度比  ▲4.0%