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2019年2月分全国消費者物価指数について

2019年3月22日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.7%に鈍化も26カ月連続上昇―
―生鮮食品を除く総合前月比は+0.2%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合は+0.1%上昇―
―生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比+0.4%で変わらず、20カ月連続上昇―

●2月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として101.5となり、前年同月比は+0.2%と1月分と同じ伸び率で、29カ月連続の上昇となった。一方、前月比(季節調整値)は0.0%と横這いであった。

●2月分で生鮮食品の前年同月比は▲11.0%で、19年1月分の▲11.1%から若干下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。

●2月分では生鮮食品を除く食料の前年同月比は+0.6%と1月分と同じ伸び率だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●2月分のエネルギー全体の前月比は+0.4%上昇した。前年同月比は+4.5%と1月分の+4.9%から鈍化した。総合指数の前年同月比に対するエネルギーの寄与度差は▲0.03%と前年同月比で若干の下落要因になった。

●エネルギー分野の各項目の、総合指数の前年同月比に対する寄与度差の動きはまちまちだった。原油市況や為替動向が遅れて反映される電気代の前年同月比は+7.7%と1月分の+7.2%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%となった。都市ガス代の前年同月比は+8.9%と、1月分の+7.8%から上昇率が高まり、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。一方、石油製品をみると、前回1月分で+2.0%だったプロパンガスの前年同月比は今回2月分では+1.9%と伸び率がやや鈍化したが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差が下落したのは、灯油とガソリンだ。灯油の前年同月比は、1月分では+6.3%だったが、2月分では+1.6%に鈍化した。前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。ガソリンの前年同月比は、1月分では+0.6%の上昇だったが、今回2月分では▲1.3%の下落に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%になった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は2月分では前年同月比▲0.6%と、1月分の前年同月比▲1.6%から下落率が縮小し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。また、家庭用耐久財は前年同月比+3.5%で、こちらは1月分の+0.2%から上昇率が高まり、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。

●2月分の宿泊料は前年同月比+3.5%で、1月分の前年同月比+5.8%から伸び率が鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%と下落要因になった。また、1月分は前年同月比+13.7%の上昇率だった外国パック旅行費は、2月分では同+10.6%に鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%の下落要因になった。

●2月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は▲0.1%と1月分と同じ伸び率で、1月分から2月分への総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%と僅かな物価上昇要因になった。生鮮食品を除く財でみると前年同月比+1.1%と1月分と同じ伸び率で、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●2月分のサービスの前年同月比は+0.4%と1月分の同+0.5%から上昇率が鈍化し、1月分から2月分にかけて総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%と物価下落要因になった。内訳は公共サービスの総合指数の前年同月比に対する寄与度差が0.00%で、一般サービスの寄与度差が▲0.04%である。

●一般サービスのうち、外食の前年同月比は+1.0%で1月分の+1.1%から上昇率が鈍化したが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。また、家事関連サービスの前年同月比は+0.6%で1月分と同じ上昇率で、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。通信・教養娯楽関連サービスの前年同月比は+0.3%で1月分の+0.7%から鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%と物価下落の要因になった。

●また、実質賃金や実質消費支出等の計算に使用する2月分の全国消費者物価指数・持家の帰属家賃を除く総合指数・前年同月比は+0.2%と1月分と同じ伸び率で、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。なお、2月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.1%で1月分と同じ減少率だった。持家の帰属家賃の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●2月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数で101.3、前年同月比は+0.7%で、1月分の+0.8%から0.1ポイント鈍化した。前年同月比は17年1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、26カ月連続の上昇になった。

●2月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合指数・前月比(季節調整値)は+0.1%だった。上昇は2カ月連続である。

●2月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は101.2で、前年同月比は1月分と同じ+0.4%になった。前年同月比は17年7月分で+0.1%と5カ月ぶりの上昇に転じ、17年8月分以降は+0.2%~+0.5%の間で推移し、20カ月連続の上昇になった。前月比(季節調整値)は+0.1%で上昇は2カ月連続になった。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算では17年4~6月期は+0.3%、7~9月期は+0.6%、10~12月期は+0.8%、18年1~3月期+0.4%、4~6月期は+0.7%と連続してプラスが続いていたが7~9月期は▲0.2%とマイナスに転じ、10~12月期は0.0%になった。足元の動きは、物価上昇圧力にはなっていないと言える。一方、日銀の需給ギャップは16年10~12月期+0.26%、17年1~3月期+0.60%、4~6月期は+0.95%、7~9月期は+0.99%、10~12月期+1.23%、18年1~3月期+1.40%、4~6月期は+1.57、7~9月期は+1.25%と8四半期連続でプラスになっている。

●内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は18年6月分で86.2%と16年9月の調査開始以来当時の最高になった後、18年7月分で77.1%、8月分で75.7%まで一時鈍化した。しかし、18年9月分で81.1%と3カ月ぶりに80.0%を超え、10月分で87.1%と最高を更新した。11月分では83.1%、12月分では82.0%とやや鈍化したものの4カ月連続80%台となっていたが、19年1月分では、17年8月の72.9%以来の低水準である73.7%へと大幅に鈍化したが、2月分では85.3%に大幅に戻した。このところ不安定な動きが続いている(3月分は3月25日公表予定)。

●12月調査の日銀短観の「企業の物価見通し」は全規模・全産業でみると「物価全般見通し」で1年後と5年後が9月調査から0.1ポイントずつ上昇し0.9%と1.2%になった。3年後は9月調査と同じ1.1%と6四半期連続して同じ前年比上昇率になった。また、「販売価格の見通し」では1年後と5年後が9月調査と同じで各々0.8%と1.5%になった。また3年後は9月調査から0.1ポイント鈍化し1.2%になった。総じてみると企業の予想物価上昇率は9月調査と概ね同じという感じになっている。3月調査の結果は4月2日に公表される。

●ESPフォーキャスト調査・3月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、19年1~3月期+0.76%、4~6月期+0.57%、7~9月期は+0.53%と緩やかに鈍化する見込みだ。しかし、19年10~12月期は消費増税を受けて+1.10%に上昇(消費増税の影響除くと+0.22%)となっている。20年1~3月期は+1.16%に上昇(消費増税の影響除くと+0.28%)である。19年度は+0.84%、20年度は+0.93%を見込んでいる。消費増税影響除くベーズでは19年度は+0.39%、20年度は+0.49%を見込んでいる。携帯電話料金の大幅引き下げや、幼児教育無償化の影響が、当面の前年同月比の抑制要因として考えられよう。2%は遠い目標水準になっている。