ホームマーケット経済指標解説2019年2月分景気動向指数(速報値)

2019年2月分景気動向指数(速報値)

2019年4月5日

-先行CI前月差6カ月ぶりに、一致CI前月差4カ月ぶりに、ともに上昇に転じる-
-過去のデータが変わる、2月分確報値での生産関連データの年間補正に注目-
-一致CIを使った景気の基調判断は、「下方への局面変化」継続-

●2月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+0.9と8月分以来6カ月ぶりの上昇に転じた。最終需要財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、マネーストック、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列が前月差プラス寄与、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数の2系列が前月差マイナス寄与になった。

●2月分の一致CIは前月差+0.7と10月分以来4カ月ぶりの上昇に転じた。生産指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数の3系列が前月差プラス寄与に、商業販売額指数・卸売業が前月差寄与ゼロ(▲0.00)に、鉱工業生産財出荷指数、商業販売額指数・小売業、有効求人倍率の3系列が前月差マイナス寄与になった。 

●2月分の一致CIの指数水準は2015年=100として98.8になった。なお、直近のピークは17年12月分の105.2で、足元の水準は、6.4ポイント低い。18年では最も高かった4月分の104.3に比べて5.5ポイント低い水準になった。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差▲1.03ポイント下降し、4カ月連続の下降になった。7カ月後方移動平均は前月差▲0.47ポイントの下降で、4カ月連続の下降になった。 

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、16年10月分~18年8月分まで23カ月連続して「改善を示している」という最高の基調判断で推移してきていた。しかし、18年9月分で「足踏みを示している」へ24カ月ぶりに基調判断が下方修正され、18年12月分まで4カ月連続して同じ判断だった。1月分では、一致CI前月差は下降、かつ一致CIの7カ月後方移動平均の前月差の2カ月の累計と3カ月の累計が振幅目安の▲0.77を超えるマイナス幅となり、「下方への局面変化」に下方修正された。「下方への局面変化」は事後的に判定される景気の山が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す判断である。

●2月分の一致CIを使った景気の基調判断は「下方への局面変化」が維持された。「悪化」という判断にさらに下方修正されるためには、「3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が下降、かつ当月の前月差の符号がマイナスであること」が必要だ。2月分の一致CI・3カ月後方移動平均は4カ月連続下方修正となったが、当月の前月差の符号がプラスに転じた。1月分の基調判断下方修正後に、にわかに生じた「戦後最長の景気拡張は幻で、昨年秋から景気後退局面に入っている可能性がある」という見方が、やや薄らぐ結果であろう。 

●景気動向指数に基づく機械的判断の推移が今回と似ているケースがある。14年4月から7月にかけて4カ月連続で「足踏み」のあと8月に「下方への局面変化」に下方修正したケースだ。14年8月から11月にかけて4カ月連続「下方への局面変化」なったが、14年12月に「改善」に戻した。最終的にこの時は、景気拡張局面継続と判断された。今回もしばらく、「下方への局面変化」を続けたあとで、「改善」に戻ることを期待したい。 

●3月分では一致CI・3カ月後方移動平均は5カ月連続下方修正の可能性が大きいだろう。3月分で景気の基調判断で「下方への局面変化」が維持されるには、当月の前月差の符号がマイナスでないことが必要だ。

●4月分になると1月分のデータが3カ月後方移動平均からはずれるので、3カ月後方移動平均の前月差はプラスに転じる可能性が大きい。景気動向指数の基調判断が「改善を示している」という最上位の景況判断に戻るには、3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が上昇、かつ当月の前月差の符号がプラスであることが必要だ。「改善」に戻るのには時間がかかる。3カ月後方移動平均が5月分・6月分と連続してプラスになり、6月分の一致CIの前月差が0.1でもプラスになれば、景気動向指数の基調判断は「改善」に戻ることが出きる。今回は早ければ「下方への局面変化」が6カ月続いたあとで8月上旬発表の6月分の公表時に「改善」に転じる可能性があるとみられる。 

●2月分の先行DIは44.4%と景気判断の分岐点の50%を下回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、マネーストックの4系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がマイナス符号になった。 

●一方、2月分の一致DIは21.4%と景気判断の分岐点の50%割れになった。速報値からデータが利用可能な7系列中、耐久消費財出荷指数1系列がプラス符号、有効求人倍率1系列が保合い、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の5系列がマイナス符号になった。 

●2月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は4月10日である。また在庫率関連データが4月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。今回2月分確報値で年間補正が行われ、過去のデータが更新される。 

●2月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。本日公表された速報値は97.8で1月分・確報値96.4から上昇していた。1月分・速報値は94.6だったが、本日過去に遡って改訂された。景気動向指数は速報値段階のデータで算出された。4月23日発表の確報値が4月24日発表予定の景気動向指数・改定値では使用される。また、生産指数関連データなどが過去分を含め4月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●3月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列である。この3系列の中で、日経商品指数、東証株価指数の2系列が前月差プラス寄与に、中小企業売上げ見通しDI1系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。 

●また、3月分の先行DIでは、数値が判明している日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列は、日経商品指数、東証株価指数の2系列がプラス符号に、中小企業売上げ見通しDI1系列がマイナス符号になることが判明している。3月分速報値段階の先行DIは22.2%以上88.9%以下が確定している。