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2019年2月分機械受注

2019年4月10日

―2月分機械受注(除船電民需)は前月比+1.8%と4カ月ぶりの増加―
―2月分の内訳、製造業は前月比+3.5%の増加、非製造業は前月比▲0.8%の減少―
―1~3月期は前期比▲0.9%の減少見通し。達成には3月分前月比+11.3%が必要―
―内閣府の基調判断は3カ月連続で「足踏みがみられる」―

●2月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+1.8%と4カ月ぶりの増加になったものの、事前の見通しの平均が2%台だったことから期待されたほどの戻りではなかった。3カ月移動平均は前月比▲1.4%と2カ月連続の減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲5.5%で2カ月連続の減少になった。中国景気の減速など世界経済の先行き不透明さに対し企業が慎重な行動をとっていることが影響しているようだ。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回1月分の1件に続き、今回2月分も1件になった。造船業の内燃機関が該当した。造船業の前月比は増加に転じ+269.3%になった。

●2月分の製造業の前月比は+3.5%と4カ月ぶりの増加。製造業17業種中、8業種で増加し、減少は9業種だった。

●2月分の実質機械受注・製造業の前月比が増加になったことから前月差寄与度は+0.14程度になり、景気動向指数2月分・改訂値での先行CI前月差の上方修正要因になると予測する。2月分の先行DIは、実質機械受注・製造業はマイナス符号で新たに加わることになるので、他の系列の符号が変わらなければ速報値の44.4%から40.0%に下方修正されるとみられる。

●2月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲0.8%と2カ月連続の減少になった。電力業の2月分では1月分と同数の2件の大型案件があり、前月比は▲47.5%減少した。電力業を含む、非製造業全体では前月比▲5.3%とこちらは3カ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。

●大型案件は、前回1月分では合計6件であった。内訳をみると、民需は、その他製造業の1件(火水力原動機)、電力業の2件(火水力原動機、発電機)の合計3件。官公需は地方公務の1件(化学機械1件)、外需は2件(原子力原動機、鉄道車両)であった。今回2月分では合計8件であった。内訳をみると、民需は、造船業の1件(内燃機関)、電力業の2件(火水力原動機、運搬機械)、運輸・郵便業の1件(船舶)の合計4件。官公需は防衛省の1件(通信機1件)、地方公務の1件(化学機械1件)の合計2件。外需は2件(化学機械、航空機)であった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は2月分で前月比▲8.8%と2カ月連続の減少となった。前年同月比は▲2.4%と6カ月ぶりの減少に転じた。

●外需は2月分で前月比+19.0%で、12月分・1月分の前月比がともに▲18.1%と2カ月連続減少だった反動から3カ月ぶりの増加に転じた。前年同月比は▲1.9%と2カ月連続の減少になった。

●内閣府の基調判断の推移をみると、18年10月分と11月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断だったが、12月分では3カ月移動平均が4カ月ぶりに上昇したものの、2カ月連続前月比が微減になったことなどから、17年7月以来の「足踏みがみられる」に下方修正された。今回2月分では1月分に引き続き、3カ月連続して「足踏みがみられる」という判断になった。

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは当▲0.9%。この伸び率を達成するためには3月分の前月比が+11.3%必要である。実績は見通しよりも下振れする可能性が大きそうだ。

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きを紹介しよう。18年11月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同10人)、設備投資関連・先行き判断DIが47.2(同9人)である。12月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同5人)、設備投資関連・先行き判断DIが50.0(同9人)。18年のうちは底堅い動きだった。

●しかし、19年に入ると変調をきたし、1月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは44.2(同9人)、設備投資関連・先行き判断DIが58.3(同12人)、2月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは46.4(同7人)、設備投資関連・先行き判断DIが41.7(同9人)である。3月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは38.5(同13人)、設備投資関連・先行き判断DIが41.7(同12人)である。但し、3月分では先行き判断が2月分と同じになり、下げ止まったかたちになった。

●2・3月分の判断は、「不変」、「やや悪化」、「悪化」となっており、良くなる方向の回答がない。3月分先行き判断のコメントをひとつ紹介すると、「現時点では横ばいの状況ではあるものの、通商問題や中国経済の先行の不安材料などにより、取引先の設備投資が減少する見通しのため、当社グループ全体でも本年度は減収減益の見込みである。(中国地方、電気機械器具製造業(総務担当))」と言う点が弱含みの代表的な理由である。足元の機械受注統計の弱含みと景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIは同様の動きである。マイナス材料を払拭するために、景気対策による中国景気の持ち直しや、米中貿易協議の進展などの明るい動きが出てくることに期待したい局面だ。