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2019年4月分機械受注

2019年6月12日

―4月分機械受注(除船電民需)は前月比+5.2%と3カ月連続の増加―
―4月分内訳、製造業は前月比+16.3%の増加、非製造業は前月比+1.2%の増加―
―5月分・6月分前月比が各0.0%でも4~6月期の前期比+8.4%の増加に―
―3カ月移動平均4カ月ぶり前月比増加。内閣府の判断「持ち直しの動きがみられる」に―

●4月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+5.2%と3カ月連続の増加になった。3カ月移動平均は前月比+3.6%と4カ月ぶりの増加になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+2.5%で4カ月ぶりの増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回3月分の2件に対し、今回4月分は1件になった。造船業の内燃機関が該当した。造船業の前月比は+617.6%の大幅増加になった。

●4月分製造業の前月比は+16.3%と2カ月ぶりの増加。製造業17業種中、9業種で増加し、減少は8業種だった。

●4月分非製造業(除船電民需)の前月比は+1.2%と2カ月連続の増加になった。4月分の電力業の大型案件は1件と3月分の4件より少なかったが、前月比は+13.1%増加した。電力業を含む、非製造業全体では前月比+1.3%とこちらは3カ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、8業種が増加で4業種が減少となった。

●大型案件は、前回3月分では合計15件であった。内訳をみると、民需は、建設業の1件(建設機械)、金融業・保険業の1件(電子計算機等)、電力業の4件(火水力原動機)の合計6件。官公需は国家公務の1件(通信機1件)。外需は8件(鉄道車両2件、航空機3件、火水力原動機1件、化学機械2件)であった。今回4月分では合計6件であった。内訳をみると、民需は、造船業の1件(内燃機関)、電力業の1件(発電機)の合計2件。官公需は、国家公務の1件(航空機)、地方公務の2件(化学機械、その他産業機械)の合計3件。外需は1件(航空機)であった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は4月分で前月比+4.4%と2カ月連続の増加となった。前年同月比は+3.3%と3カ月ぶりの増加になった。

●外需は4月分で前月比▲24.7%で3カ月ぶりの減少になった。大型案件が4月分は1件で、3月分の8件から大幅に減少したことが影響していよう。前年同月比は▲18.3%と2カ月ぶりの減少になった。

●内閣府の基調判断の推移をみると、18年10月分と11月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断だったが、18年12月分に「足踏みがみられる」に下方修正され、19年3月分まで4カ月連続して「足踏みがみられる」という判断だった。4月分では3カ月移動平均が+3.6%と4カ月ぶりに増加に転じたこともあり、4月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」という判断に上方修正された。

●機械受注(除船電民需)4~6月期の前期比見通しは+15.7%としっかりしている。見通し達成には5月・6月の各月+6.6%の高い前月比が必要で、実績は見通しよりも下振れする可能性がありそうだ。但し、5月・6月の各月の前月比がゼロでも4~6月期の前期比は+8.4%である。ある程度の下振れを考慮しても、4~6月期の前期比は3四半期ぶりにプラスに転じる可能性が大きいようだ。

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きをみてみよう。18年12月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同5人)、設備投資関連・先行き判断DIが50.0(同9人)。18年のうちは底堅い動きだった。

●しかし、19年に入ると変調をきたし、1月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは44.2(同9人)、設備投資関連・先行き判断DIが58.3(同12人)。2月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは46.4(同7人)、設備投資関連・先行き判断DIが41.7(同9人)。3月分では、設備投資関連・現状判断DIは38.5(同13人)、設備投資関連・先行き判断DIが41.7(同12人)。4月分では、設備投資関連・現状判断DIは38.5(同13人)、設備投資関連・先行き判断DIが47.9(同12人)である。5月分では、設備投資関連・現状判断DIは36.7(同15人)、設備投資関連・先行き判断DIが36.5(同13人)となっている。

●「米中貿易摩擦など海外経済の先行きが不透明なので、設備投資は抑えられる傾向にある」(北陸:一般機械器具製造業(総務担当))といった米中貿易摩擦を材料に「やや悪」と判断するウォッチャーが増えてきている。4月分の機械受注統計はしっかりした内容になったが、5月に入って米中貿易戦争は激しさを増した感があるため、機械受注統計も今後の動向を、予断を持つことなく見守る必要があろう。