宅森昭吉のエコノミックレポート

REPORT

2019年5月分景気動向指数(速報値)

2019年07月05日

-先行CI前月差は▲0.5と下降だが、一致CI前月差は+1.0の上昇-
-3カ月後方移動平均の前月差は2カ月連続上昇-
-5月分の景気の基調判断は、「悪化」から「下げ止まり」に上方修正-

●5月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲0.5と2カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列で、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、マネーストックの3系列が前月差プラス寄与に、最終需要財在庫率指数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列が前月差マイナス寄与になった。先行CIが前月差はこのところ上昇と下降を繰り返している。

●5月分の一致CIは前月差+1.1と2カ月連続上昇になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業の5系列が前月差プラス寄与に、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の2系列が前月差マイナス寄与になった。

●5月分の一致CIの指数水準は2015年=100として103.2になった。なお、直近のピークは17年12月分の105.3で、足元の水準はそれに比べるとまだ2.1ポイント低い。18年では最も高かった4月分の104.1に比べると0.9ポイント低い水準である。また、最近で最も低かった1月分の100.4に比べると2.8ポイント高い水準である。

●一致CIの3カ月後方移動平均は前月差+0.56ポイント上昇し、2カ月連続の上昇になった。7カ月後方移動平均は前月差▲0.10ポイント下降し、2カ月ぶりの下降になった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、16年10月分でそれまでの「足踏みを示している」から「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~18年8月分まで23カ月連続して同じ最高の基調判断で推移してきていたが、18年9月分~12月分と4カ月連続「足踏みを示している」となった。19年1月分では、「下方への局面変化」に下方修正された。2月分も同じ判断になった。3月分では景気後退の可能性が高いことを意味する「悪化」にさらに下方修正され、4月分でも「悪化」だった。

 

●19年5月分では一致CIの7カ月後方移動平均は前月差マイナスだが、3カ月後方移動平均の前月差が2カ月連続のプラスになった。「当月の一致CIの前月差はプラスで、一致CIの3カ月後方移動平均の前月差のプラス幅の2か月の累積が1標準偏差分(+0.90)を上回る」ことが、「悪化」から「下げ止まり」へ上方修正される条件だ。4月分・5月分の一致CIの3カ月後方移動平均の前月差の2カ月の累計が+1.13になり、1標準偏差分(+0.90)を上回ったので、5月分の基調判断は「下げ止まり」に上方修正された。戦後最長とされる景気回復は途切れていないことを示唆するデータとなった。

●「下げ止まり」から「悪化」に下方修正されるには、「3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が下降、かつ当月の前月差の符号がマイナスであること」が必要だ。このため、CIの前月差下降が続いたとしても「悪化」に下方修正されるのは、最悪のケースで一番早くて8月分(10月7日公表)になる。

●「下げ止まり」から「上方へ局面変化」に上方修正されるには、一致CI前月差が上昇、かつ一致CIの7カ月後方移動平均の前月差がプラスに変化し、プラス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累計)が振幅目安の+0.76以上になることが必要だ。過去の数字が変わらないことを前提に、仮に一致CI前月差6月分・7月分で各々+0.9ポイント上昇するとカ月後方移動平均の2カ月の累計が振幅目安の+0.76を上回る+0.79になる。6月分の基調判断は「下げ止まり」になりそうだ。

 

 

●5月分の先行DIは33.3%程度と2カ月ぶりに景気判断の分岐点の50%割れになった。速報値からデータが利用可能な9系列中、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、マネーストックの3系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列がマイナス符号になった。

●一方、5月分の一致DIは71.4%程度と2カ月連続して景気判断の分岐点の50%超になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業の5系列がプラス符号に、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の2系列がマイナス符号になった。

●7月24日発表予定の5月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は7月8日である。また在庫率関連データが7月12日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

●5月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。5月分速報値の発表日は7月9日である。7月23日発表の確報値が7月24日発表予定の景気動向指数・5月分改定値では使用される。また、生産指数関連データなどが過去分を含め7月12日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

●5月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。このうち    中小企業売上げ見通しDI1系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。

●また、5月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は、全系列がマイナス符号になることが判明している。5月分速報値段階の先行DIは0.0%以上55.6%以下が確定している。