ホームマーケット経済指標解説2019年10~12月期実質GDP(第2次速報値)について

2019年10~12月期実質GDP(第2次速報値)について

2020年3月9日

―実質GDP成長率は前期比年率▲7.1%に第1次速報値同▲6.3%から下方修正―
―民間設備投資は法人企業統計を受け前期比▲4.6%に同▲3.7%から下方修正―
―個人消費は前期比で0.1ポイント上方修正、公共投資は0.4ポイント下方修正―

●19年10~12月期実質GDP成長率・第2次速報値は前期比▲1.8%、前期比年率▲7.1%となり、第1次速報値の前期比▲1.6%、前期比年率▲6.3%から下方修正となった。設備投資や公共投資が下方修正された。10~12月期では、消費税増税、令和元年東日本台風、暖冬などがマイナスに作用した。

●前期比年率▲7.1%は、現行統計の94年度以降では、リーマンショック後の09年1~3月期▲17.8%・08年10~12月期▲9.4%、そして前回の消費税増税実施時の14年4~6月期▲7.4%に次ぐ大幅な減少率である。

●19年10~12月期名目GDP成長率・第2次速報値は前期比▲1.5%、前期比年率▲5.8%となり、第1次速報値の前期比▲1.2%、前期比年率▲4.9%から下方修正となった。名目GDPの季節調整値は549.9兆円である。

●10~12月期の個人消費・前期比は、第1次速報値の▲2.9%から前期比▲2.8%へと0.1ポイント上方修正になった。

●10~12月期実質住宅投資は前期比▲2.7%から前期比▲2.5%へと0.2ポイント上方修正となった。

●10~12月期の実質設備投資・前期比は第1次速報値の▲3.7%から、新たに加わった需要サイドの法人企業統計のデータが弱かったため、第2次速報値では同▲4.6%へと下方修正された。

●10~12月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%と第1次速報値の+0.1%から下方修正となった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度+0.1%で第1次速報値と同じであった。流通品在庫は前期比寄与度+0.1%で第1次速報値と同じであった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は第1次速報値の▲0.1%から▲0.2%に下方修正。同じく仮置き値の仕掛品在庫前期比寄与度は第1次速報値の0.0%から▲0.1%に下方修正となった。

●10~12月期実質政府最終消費支出は前期比+0.2%で第1次速報値と同じであった。10~12月期実質公共投資は第1次速報値の+1.1%から同+0.7%に下方修正となった。9月分公共投資出来高の伸び率が鈍化していた。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%で第1次速報値と変わらなかった。

●10~12月期の外需(純輸出)の前期比寄与度は第1次速報値と同じ+0.5%で変わらなかった。実質輸出の前期比▲0.1%で第1次速報値と同じ前期比であったが、控除項目の実質輸入の前期比は▲2.7%で第1次速報値の▲2.6%から若干下方修正となった。

●10~12月期のGDPデフレーターの前年同期比は+1.2%で第1次速報値の+1.3%から鈍化した。国内需要デフレーターの前年同期比は+0.7%で第1次速報値と同じであった。

●10~12月期第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は0.0%であったが、法人企業統計の発表を織り込んだ第2次速報値では同▲0.2%に下方修正になった。この内訳に関しては雰囲気しか教えてもらえないが、4項目でプラス寄与は製品在庫だけで、残りはマイナス寄与ということだ。マイナス寄与が小さい順に、流通品在庫、そして仮置値である仕掛品在庫と原材料在庫が続いていた。第2次速報値では法人企業統計のデータが加わった。4項目でプラス寄与は製品在庫だけで、残りはマイナス寄与ということだ。マイナス寄与が小さい順に、流通品在庫、原材料在庫、仕掛品在庫となったようだ。

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、1~3月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+4,840億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+3,117億円である。

●「令和2年度の経済見通し」の19年度実質GDP成長率実績見込み+0.9%程度達成には残り1四半期(1~3月期)で前期比年率+10.9%程度(前期比+2.61%)程度の高い伸び率が必要だ。新型コロナウイルスの影響で、2月・3月の経済活動が停滞するとみられ1~3月期はマイナス成長になる可能性さえあることから、目標達成は厳しいとみられる。なお、18年度から19年度へのゲタは+0.5%である。