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「Grexit」とギリシャの財政問題(欧州)

2016年4月20日

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「Grexit(グリグジット)」とは、ギリシャがユーロ圏から離脱するとの観測が過熱したことから生まれた造語です。ギリシャのユーロ離脱の可能性は一旦は遠のきましたが、足元でギリシャの財政見通しは下振れています。欧州連合(EU)は、ギリシャの追加緊縮の実施を前提に、財政再建は可能との見方に加え、反EU勢力の高まりをけん制する意味からも、「Grexit」という大きな政治的リスクを回避すると考えられます。

【ポイント1】ギリシャの財政見通しは昨年8月よりも下振れ

財政の改善見通しが悪化

■「Grexit」とは、ギリシャ(Greece)と退去(Exit)という単語を組み合わせた造語です。財政問題を抱えているギリシャが、ユーロ圏から離脱する可能性を指摘したものです。

■2015年8月に、ギリシャとEUとの間で「第3次金融支援」が合意されたことで、ギリシャの財政問題は一応の決着を見ました。しかし、今年に入り、ギリシャの財政は景気の悪化を背景に、昨年8月時点の想定よりも下振れています。当初は18年までに基礎的財政収支をGDP比で3.5%まで改善させる、としていましたが、その見通しが悪化しています。

【ポイント2】ギリシャは追加緊縮が必要

7月の債務支払いに注意

■ギリシャは、追加の所得増税や年金カットなどの追加緊縮で対応すると思われます。EUは追加緊縮の実施を前提にギリシャの財政再建は可能との立場です。他方、IMFは持続可能ではない、として緊縮圧力をさらに高める公算があります。

■当面は、7月の35億ユーロの債務支払い(主に欧州中央銀行向け)に注意が必要ですが、波乱は少ないと思われます。背景として、①償還規模が過去に比べてかなり小さい、②銀行部門が第3次支援によって資本を注入され、金融流動性支援が担保されている、などが挙げられます。

【今後の展開】大きな政治的リスクは回避される方向

■ギリシャは、追加の緊縮策を打ち出すと思われますが、本格的な緊縮案を打ち出すには時間がかかりそうです。市場では、ギリシャの債務問題よりも、6月23日の英国の国民投票(EU離脱か残留か)の結果に注目が集まりそうです。

■また、ドイツでは17年秋に総選挙が控えています。反EU勢力も高まりつつある中で、EUとしても、「Grexit」(ユーロ離脱)という大きな政治的リスクは回避する方向に動くと考えられます。

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