ホームマーケット日々のマーケットレポートルセフ政権、財政と景気の再建へ(ブラジル)【キーワード】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

ルセフ政権、財政と景気の再建へ(ブラジル)【キーワード】

2015年4月3日

<今日のキーワード>
ルセフ政権は、今年1月から2期目(任期4年)に入りました。1期目後半の2013年半ば、景気の低迷、物価の高騰、公共サービスの質低下、政治家や公務員の汚職などへの不満から、全国規模のデモが発生しました。その後再選に至ったものの、今年に入り石油公社を巡る汚職問題が深刻化し、再び全国規模でデモが発生、支持率が低下しています。

【ポイント1】支持率は、2011年の政権発足以来最低に

緊縮財政と金融引き締めが低支持率の要因
■4月1日に発表された世論調査(※)によると、ルセフ政権への支持率は19%と、昨年12月調査の52%から大幅に低下し、2011年1月の1期目スタート以来最低の水準になりました。また、現政権を支持しない層の比率は78%と、12月調査の41%から大幅に上昇しました。
(※)ブラジル全国工業連盟(CNI)と調査会社Ibopeによる、3月21日から25日にかけての調査。2,002名が回答。

■この世論調査では、税制や金融政策への評価が特に低くなっています。政府は財政再建に向けて増税や補助金の削減を、中央銀行は物価抑制のため金融引き締めを実施しています。経済情勢が変わらないなか、ルセフ政権は2期目も不人気な政策を続けざるを得ず、支持率が低下しています。

【ポイント2】大規模なデモが再発

貧困対策による景気や支持率の回復に期待
■3月中旬、全国で100万人を超える政府批判のデモが発生しました。石油公社を巡る汚職問題から政治不信が強まっているほか、干ばつによる水不足が物価高や水力発電の低下につながり、国民の不満が高まっています。

■一方、貧困や雇用などの政策への評価は、比較的高めです。政府は、今年1月から最低賃金を前年比+8.8%引き上げました。こうした低所得者層に配慮した政策は、景気の下支えにもつながり、支持率回復のきっかけになる可能性があります。

【今後の展開】市場の評価を背景に財政再建をさらに進め、景気にも配慮する姿勢

■格下げ懸念が後退、ブラジルレアルは落ち着き
大手格付け会社S&Pは3月、ブラジル国債の格付けをBBB-(外貨建て)と、投資適格級に据え置きました。また、増税を盛り込んだ2015年の予算案が成立したほか、政府は汚職対策法案を国会に提出しました。足元では、ブラジルレアルが落ち着きつつあり、市場は政府の取り組みを評価をしているようです。

■財政再建と同時に、景気にも配慮
ルセフ大統領は新たな財政再建策を発表する意向であり、増税や歳出削減による景気下押しが懸念されます。一方、港湾や道路などのインフラ整備により経済基盤を固める方針も示しています。財政の制約下でも、景気への効果の高い分野に投資を集中することなどにより、支持率回復につながるか注目されます。

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