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「サウジアラムコ」の上場(グローバル) 【キーワード】

2016年5月10日

<今日のキーワード>
「サウジアラムコ」とは、世界でも最大級の原油埋蔵量および生産量を持つサウジアラビアの国営石油企業です。「サウジアラムコ」は、同国のすべての石油関連施設を管理していると見られます。4月下旬に同国のムハンマド副皇太子が、同社の株式を上場する意向を表明しました。これは、同国の経済改革策「ビジョン2030」の一環です。株式公開が実現すれば、時価総額は膨大な金額になると思われ、動向が大いに注目されます。

【ポイント1】上場すれば世界最大の時価総額の会社になりそう

エクソンモービルの10倍以上の埋蔵量を有する

■サウジアラビアは、原油埋蔵量2,670億バレル(世界の約16%に相当)、生産量1,151万バレル/日と世界でも最大級の産油国です。世界最大の石油会社である米国のエクソンモービル社の2015年末の埋蔵量250億バレル、生産量230万バレル/日(ガスを除く)を大きく上回ります。

■エクソンモービルの時価総額は現在38.5兆円(1ドル=105円として)ですが、埋蔵量を目安とすれば、「サウジアラムコ」社の時価総額は411兆円、生産量を目安とすれば193兆円となります。これらはいずれにしても、現在最大の米国アップル社の53兆円を大きく上回り、世界最大の時価総額となります。

【ポイント2】原油依存からの脱却計画の一環

株式上場資金で運用収益拡大狙う

■「サウジアラムコ」の上場の背景は、国家財政と長期的な国家戦略にあると考えられます。サウジアラビアは現在、原油価格の下落により大幅な財政赤字に直面しています。また長期的には、原油依存体質からの脱却を計画しています。

■このため、政府は「サウジアラムコ」の上場により株式の売却代金を得るとともに、巨大な時価総額を背景に、政府系ファンドの資金調達力を増加させ、投資運用収益の拡大を狙い、2020年までに原油依存からの脱却を図る意向と見られます。

【今後の展開】不透明要素が多いが、早ければ2017年にも実施か?

■5%程度の部分的な売却にとどまる公算
「サウジアラムコ」株式の公開は、国内での同意が得られるか、時期がいつ頃になるのか、上場市場をどこにするのか、など不透明要素が多く存在します。これまでの報道等によれば、公開は早ければ2017年末、株式売却の規模としては全体の5%未満、市場はサウジアラビア国内との見方が多いようです。

■金融市場の波乱要因に
いずれにしても株式公開が実現すれば、金額が大きいため影響が注目されます。仮に実行されれば、公開株式の買い付け資金が市場から吸収される事になりますが、ファンドの運用資金として再投資される可能性が高いと見られます。調達した資金をどのように運用するかもあわせ、市場の注目を集めそうです。

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