ホームイベント・セミナー一覧【セミナー開催報告】『投信EXPO2021』どうなるテクノロジー株の行方!?(後編)

どうなる︖テクノロジー株の⾏⽅︕︖(後編)
~グローバルAIとワールドチェンジの運⽤担当者が語る今後のマーケット~

2021年11月15日

投信EXPO2021 特別講演

2021年9⽉18⽇(⼟)モーニングスター社主催の「投信EXPO2021」が開催されました。新型コロナウィルスの感染防⽌の観点から会場、オンラインでのハイブリッド開催となりました。

特別講演では三井住友DSアセットマネジメント資産運⽤サポート部部⻑の谷本達宏がモデレーターとなり、グローバルAIファンドの実質的な運⽤を担当するアリアンツ・グローバル・インベスターズジャパン(以下、アリアンツGI)の運⽤部プロダクト・スペシャリスト滝沢圭⽒、世界新時代株式ファンド(愛称︓ワールドチェンジ)の運⽤を担当する弊社運⽤部プロダクトスペシャリスト三牧洋介がパネルディスカッションを⾏いました。

今後のテクノロジー株の⾏⽅に注⽬する多くの投資家が集まり、⼤いに盛り上がりをみせた講演内容について前編・後編に分けてご紹介いたします。


※モーニングスター株式会社の事業は2023年3月30日以降、ウエルスアドバイザー株式会社が行っております。


講演者紹介 ※敬称略・順不同

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 資産運用サポート部部長 谷本 達宏

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
資産運用サポート部部長
谷本 達宏


1995年4月第⼀生命保険入社、野村ブラックロック・アセット・マネジメント(現ブラックロック・ジャパン)等を経て2006年に三井住友アセットマネジメント(現三井住友DSアセットマネジメント)入社。ほぼ⼀貫して投信マーケティング業務に従事。2016年4月より資産運用サポート部長、2019年4月より資産形成推進部長。2021年4⽉より資産運用サポート部にて資産形成に関する啓蒙、推進業務を担当。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン株式会社 運用部 プロダクト・スペシャリスト 滝沢 圭

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン株式会社
運用部 プロダクト・スペシャリスト
滝沢 圭


上智大学経済学部卒、三菱UFJ国際投信、およびMitsubishi UFJ Asset Management UKにてファンド・マーネージャー、プロダクト・スペシャリストを歴任、その後2017年12月に株式のプロダクト・スペシャリストとしてアリアンツGIに入社。2012年CMA取得。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 運用部 プロダクトスペシャリスト 三牧 洋介

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
運用部 プロダクトスペシャリスト
三牧 洋介


1990年4月住友生命保険入社、オーストリアやドイツ、イギリス等の現地法人で外国株式の運用を担当。2002年12月に三井住友アセットマネジメント(現三井住友DSアセットマネジメント)入社、アジアやグローバル株式の運用を担当。2013年より株式運用グループヘッド、2019年より合併した三井住友DSアセットマネジメントにて株式運用第一部統括部長。グローバル株式運用の経験は約30年にわたる。

特別講演 どうなる?テクノロジー株の行方!?(後編)

世界新時代株式ファンド
テーマ設定が好パフォーマンスに寄与。2021年はグリーンテックに注目! 

【谷本】
2020年の7月に設定されましたが、その後の好調なパフォーマンスの要因は?

【三牧】
3つあると考えています。1つ目がウィズコロナの中で当ファンドを設定しましたが、そのタイミングです。新型コロナウイルスの影響で社会が構造的に変わるのではないかと考えており、その通りだったと思います。2つ目としては「ライフスタイル」「企業戦略」「医療・健康」「グリーンテック」というこの4つのテーマ設定です。3つ目として銘柄選択が寄与していると考えております。すべての組入銘柄に対して経営陣への取材を行い、経営に対する考え方、強み等をヒアリングしており、そのアプローチがうまくいったと思います。


コロナ禍に伴う短期の変化よりも、コロナ収束後も続く長期的な変化に着目。
主要国が成長戦略に位置付けるグリーンテックに、特に注目

2021年の着眼点

【谷本】
4つの中で特に注目しているテーマは?

【三牧】
どのテーマにも思い入れはありますが、グリーンテックという環境関連の分野に注目しています。新聞等を見てもわかる通り、環境問題待ったなしという状況で各国が本腰を入れてこのテーマに取り組んでいます。 例えばEVでみると、毎年1億台近くの自動車が生産されていますが、これがガソリン車からEV車に置き換わるということであれば、非常に大きなビジネスになるというのは容易に想像できると思います。環境分野は技術の進歩によって、単に問題の解決というだけでなくビジネスとして成長することが期待され、注目しています。

【滝沢】
グローバルAIファンド』の観点からは、どのテーマも密接に関わっているので興味深いですが、あえて一つ挙げるならばサイバーセキュリティに注目しています。
デジタル化が加速し、ありとあらゆるものがインターネット環境に接続される一方でサイバー攻撃の脅威が高まっています。その中でサイバーセキュリティ企業の重要性が高まっていますが、最先端のサイバーセキュリティ企業はAI技術を駆使してサイバー攻撃の事前の防止や早期の発見に役立てており、注目しています。

【谷本】
直近投資を開始した銘柄の共通点は?

【三牧】
銘柄選択の際には、その企業が"長期の勝ち組かどうか"を見極めることを重要視しています。
テクノロジー企業に投資する場合、陥りがちなのは持っている技術にだけ着目して、その企業がどのような経営を行っているかに注目しないことです。
我々は投資対象の会社として今後も成長できるかという点に力点を置いて調査を行っています。

2020年9月以降、投資を開始した銘柄例

2020年9月以降、投資を開始した銘柄例

【三牧】
設定後に投資を開始した例としてはマッチ・グループがあります。同社はマッチングサービスを提供している世界的な大手です。単独の企業として上場したのは最近ですが、以前は多面的経営を行う企業の一部門ということで運営されていました。我々はこの分野についてはかなり前から着目しており、経営陣と議論を重ねてきました。従来は新しい技術の恩恵が期待されるのは米国や日本などの一部の先進国のみでしたが、今は世界中にスマートフォンが普及しており、アプリを使えますので、こういったマッチングサービスも世界中へ事業を展開できるというのも成長の可能性を感じるポイントです。

【滝沢】
クラウド・ストライクホールディングスはサイバーセキュリティの最先端の企業ということで『グローバルAIファンド』でも投資しています。また、アフターペイという企業についても、『グローバルAIファンド』で保有しているスクエアが買収を発表し株価も上昇しています。

【谷本】
当ファンドとESGの関係性は?

【三牧】
株式投資においては、主に売上や利益を中心とした財務面に着目しての組入銘柄を選定しますが、今の時代は財務面に表れない部分というのも重要になってきます。例えば、製品としては非常に良いけれど環境破壊につながるような材料を使用していたり、製造の過程で児童労働などの問題があれば製品に対するサスティナビリティ(持続性)もありませんし、会社にとっても問題になります。我々は財務的なことだけではなく、環境・社会・ガバナンスといったいわゆるESGの要素にも着目して判断しています。これはインテグレーションといわれる手法ですが、グリーンテックの銘柄だけではなくてすべての銘柄について財務情報と非財務情報を総合的に判断しています。
加えて当ファンドではグリーンテックという環境分野に関してはビジネスとしての成長性に着目して投資を行っています。ESGインテグレーションという手法に加えてグリーンテックにも注目しています。

気候変動リスクの⾼まり、環境問題の深刻化により世界各国・地域が対策に本腰
グリーンテック市場の創出が期待され、投資妙味が⾼まる

<脱炭素に向けた主要国・地域の取組み>
<技術力・ソリューション力を備えた企業に商機>

(注)右図の市場規模は環境省の予想。
(出所)環境省のホームページ、各種資料のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
※写真はイメージです。
※上記は過去の実績であり、今後の市場環境等を示唆あるいは保証するものではありません。

【谷本】
投資テーマ別にみるとライフスタイルのウエイトが高いようですが、その背景は?

【三牧】
理由は非常にシンプルです。ウィズコロナの環境になって1年余りが経ちますが、ライフスタイルに対しての変化が一番大きかったのではないかと思います。 外出を自粛しつつも日々生活をしていく中で、実はこんなに便利なサービスがあったと気づいたことがあると思います。その意味で新型コロナウイルスによる変化はライフスタイルの変化に大きく表れているためウエイトが高くなっています。


アクティブファンドを選ぶ際はパフォーマンスや組入銘柄に注目。将来の成長企業に投資する際の選択肢に

【谷本】
世の中としてはパッシブファンドを好むトレンドになっていますが、アクティブマネージャーとしてコメントはありますか?

【滝沢】
コストの低さや苦戦するアクティブファンドを敬遠してパッシブファンドを選択する、というトレンドも理解しています。しかしアクティブファンドの中でも信託報酬控除後で良好なパフォーマンス、指数を上回るアクティブファンドも数多くあるので投資の選択肢としてぜひご検討頂きたいと思います。
良いアクティブファンドを選ぶには、指数や類似するファンドに対して中長期のパフォーマンスが上回っているかという点、組入上位銘柄がユニークな面白いものになっているかを確認いただくことです。

【三牧】
パッシブファンド、アクティブファンドそれぞれの良さがあると考えています。市場全体の上昇を取っていきたいという場合や特定の国の成長を享受したいという場合にはフィーの安いパッシブファンドというのは良い選択肢だと思います。
一方で、例えば今日お話ししたようなテクノロジーセクターに投資をしていきたいという場合には、今、時価総額が大きい企業が5年後10年後にはそうでなくなっているというケースもあります。例を挙げますと、今であれば検索エンジンはGoogleが最大手ですが、20年ぐらい前だとYahoo!が非常に強かったということもあります。過去にはそのような企業が淘汰されて新しい企業が台頭してきています。パッシブファンドだけに投資をしていると時代の変化を捉えきれないという可能性もあると思います。一方でアクティブファンドであれば、新たな変化を担っていく企業をリサーチを通じて発掘していくことができます。将来の成長企業に早い段階から投資ができるというのがアクティブファンドの魅力ではないかと思います。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

投信EXPO2021 特別講演の様子
投信EXPO2021 特別講演の様子

AI関連企業の高い成長見通しに変化なし
幅広い分野でテクノロジーを捉えてその進歩・応用の果実を享受したい

【谷本】
最後に各ファンドについてのコメントをお願いします。

【滝沢】
2021年に入ってから、市場や当ファンドのボラティリティが高まる局面はあったものの、重要な点はAI関連企業の高い成長見通しに変化はないということです。
今後も金融政策や感染者数の動向によってボラティリティが高まる局面があるかもしれませんが、業績が堅調で今後の見通しも良好なAI関連企業、そして運用チームによる銘柄の選別と機動的な売買、これによって中長期に魅力的なリターンを提供できると考えておりますので引き続きご注目ください。

【滝沢】
IT分野がこれからも進歩し、世の中を変えていくと考えております。しかし、変化というのはIT分野だけではない、そしてテクノロジーというのもITだけではないと思います。ヘルスケアやグリーンテックも変化の大きな分野です。幅広い分野でテクノロジーというものを捉え、その進歩・応用の果実を株式投資で享受していくこともできるのではないかと考えております。

【谷本】
本日の講演が皆様の資産形成のお役に立てて頂ければ幸いです。
本日はご清聴頂きましてありがとうございました。


※モーニングスター株式会社の事業は2023年3月30日以降、ウエルスアドバイザー株式会社が行っております。



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