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日銀短観(2014年9月調査)(日本)【キーワード】

2014年10月2日

<今日のキーワード>
日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。市場では、大企業・製造業の現状の景況感(業況判断DI)や3カ月先の景況感(先行きDI)などが注目されます。また景況感のほか、企業の売上、収益、設備投資計画や雇用、資金繰りの状況判断が公表されます。2014年9月調査の調査期間は8月27日~9月30日でした。

【ポイント1】大企業・製造業の業況判断DIは2四半期ぶりに改善

大企業・非製造業は先行きDIが改善
■1日に発表された9月調査分の「日銀短観」では、大企業・製造業の「業況判断DI」(最近)は+13(前期比+1ポイント)と2四半期ぶりの改善となりました。また「先行きDI」(先行き)は+13と同横ばいに留まりました。一方、大企業・非製造業は、最近が+13と同▲6ポイントの悪化となりましたが、先行きは+14と同+1ポイントの改善です。消費税増税の影響が長引き、回復の遅れなどが見られるものの、今後さらに景況感が悪化する懸念は後退した形です。

【ポイント2】今年度の経常利益計画は上方修正

円安進行などがプラス要因
■今年度の経常利益計画は、大企業・全産業が前年度比▲3.0%と減益見込みですが、6月調査から+1.8ポイント上方修正されました。また、中小企業は同▲0.3ポイント下方修正されましたが、中堅企業が同+1.8ポイント上方修正されており、全規模・全産業では同+1.4ポイント上方修正されました。

■今年度の米ドル円レートの想定が、6月調査の1ドル=100.18円から100.73円へ円安方向に振れていることなどが、利益面でプラスになると見られます。足元では10月1日に一時110円を超える円安となり、企業の想定を大きく上回っています。この水準が続けば、今年度の経常利益の上方修正要因となります。また、設備投資計画も前回調査から上方修正されており、先行きの底堅い景況感を裏付けています。

【今後の展開】底堅い企業景況感を背景に景気回復へ

■人手不足は大企業・製造業にも広がる
大企業・製造業の最近の雇用DI(過剰-不足)は▲1と6年ぶりに不足が過剰を上回りました。非製造業や製造業の中堅・中小企業は以前から人手不足感が出ていましたが、これが大企業・製造業にも波及してきました。労働需給が引き締まり、今後の賃金上昇につながることが期待されます。

■年後半の景気回復に期待
8月の鉱工業生産指数が前月比▲1.5%と2カ月ぶりにマイナスになるなど、消費税増税後の景気回復にやや足踏み感も見られますが、企業収益や雇用に改善が見られることなどから、今後、景気が底割れする可能性は小さいと見られます。年後半の回復に期待したいところです。

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