ホームマーケット日々のマーケットレポート最近の指標から見るブラジル経済(2015年5月)  歳出削減策の発表や利上げの効果に期待【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

最近の指標から見るブラジル経済(2015年5月)  歳出削減策の発表や利上げの効果に期待【デイリー】

2015年5月19日

【ポイント1】生産は低迷、消費は伸び悩み

内外ともに需要が弱い状況
■3月の鉱工業生産指数は前年同月比▲3.5%と、13カ月連続のマイナスになりました。また、製造業購買担当者景況感指数(PMI)は46.0と3カ月連続で好不況の境目の50を下回り、製造業の低迷が続いています。

■4月の輸出は前年同月比▲23.2%と大幅に落ち込み、3月の小売売上高は同+0.4%と伸び悩みました。内外ともに需要が弱く、企業景況感や消費者信頼感が落ち込んでいることなどから、景気は低迷が当面続きそうです。

【ポイント2】中銀は利上げを継続

公共料金引き上げの影響を抑える姿勢
■4月の消費者物価指数は前年同月比+8.17%と、2014年12月の同+6.41%を直近の底として4カ月連続で上昇し、目標(年+2.5%~+6.5%)の上限を上回っています。財政再建に向け補助金が削減され、家庭向け電気料金が同+59.93%上昇したことなどが物価を押し上げました。

■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、昨年10月から4月まで5会合連続で政策金利を引き上げています。中銀は、公共料金引き上げの影響が広がることを防ぐ必要があるとしており、市場では次回会合(6月2日~3日)でも政策金利(現行13.25%)の引き上げが続くと見込まれています。

【今後の展開】政府による歳出削減策発表や、利上げによる物価見通しの改善に期待

■ルセフ大統領は、3月末に財政再建に向けあらゆる手段を講じる姿勢を明らかにし、4月には議会の指導者が協力姿勢を示しました。こうした流れを受け、政府は大幅な歳出削減策などを検討しています。市場では、政府の取り組みによる信用力向上、格下げ懸念の後退への期待から、国債利回りが低下しつつあります。

■政府・中銀による財政再建・物価抑制策は、短期的に景気を押し下げる要因になりそうです。一方、国債利回りの低下が続き、物価に落ち着きが見られれば、企業や家計の購買力向上などを通じて景気は持ち直しに向かうと期待されます。当面は、政府の歳出削減策の発表や、市場参加者の物価見通しの低下度合いが注目されます。

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