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潜在成長率(日本)【キーワード】

2014年10月8日

<今日のキーワード>
潜在成長率とは、国内にあるモノやサービスを生産するために必要な「生産要素」を最大限に活用できた場合の国内総生産(GDP)の理論上の伸び率です。10年、20年というかなり長期間に及ぶ平均的な成長力を規定するもので、その国の経済の実力を意味します。

【ポイント1】経済の実力を示す「潜在成長率」

資本ストック、労働力、生産性の伸びを見る
■潜在成長率とは、国内にあるモノやサービスを生産するために必要な「資本」、「労働力」、「生産性」という3つの「生産要素」を最大限に活用できた場合の国内総生産(GDP)の伸び率のことで、理論上の数値です。国内にある様々な設備や労働者、そして技術力や知識などをフルに活用できれば、どれぐらいの成長が可能かという、いわば、その国の経済の実力を示すものです。一般に、潜在成長率は、①資本ストックの伸び、②労働力の伸び、③生産性の伸び、で決まります。

【ポイント2】低下する潜在成長率

本来の力も出し切れない日本経済
■「潜在成長率」は、どれぐらい生産できるかという「供給」力で決まります。また、「実際のGDP成長率」は、消費者などがどれぐらい消費するかといった「需要」に左右されます。このため「潜在成長率」と「実際のGDP成長率」は、必ずしも一致しません。国際通貨基金(IMF)は、日本の潜在成長率は現状0.5%~1.0%に留まり、かつ、低下傾向にあると指摘しています。一方、2014年度の実質GDP成長率は、消費税増税等の影響から、+0.2%程度に留まると見られます(三井住友アセットマネジメント予想)。日本経済は、実力が低下傾向にあるうえに、本来の力も出し切れない状態が続いています。

【今後の展開】成果が問われる「成長戦略」

■日本再興戦略の目標
安倍政権が推し進めている「日本再興戦略」は、①10年間平均で名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の実現、②10年後に1人当たり名目国民総所得の150万円以上の拡大、を目指すとしています。こうした成長を実現するためには、民間投資を喚起する「成長戦略」が着実に実施されることで、潜在成長率を引き上げられるかどうかが重要です。

■中長期的な課題にチャレンジ
6月に閣議決定された「進化する成長戦略」は産業競争力会議が中心となってまとめられました。検討方針では、①女性の躍進、②ヘルスケア改革、③農業改革、などが成長力を高める中長期的な課題となっています。こうした改革の効果が確認できるまでにはある程度の時間が必要です。「成長戦略」により、日本の成長率の抜本的な底上げが図れるかどうかが注目されます。

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