ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,329】中国政府、「住宅市場」の減速に対策発表(中国)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,329】中国政府、「住宅市場」の減速に対策発表(中国)

2014年5月16日

1.中国の「住宅市場」と、その近況は?

 中国の住宅市場では、高めの成長や、10年間で2.5億人を農村から都市へ移す方針などを背景に、根強い需要拡大観測があります。こうした状況で住宅は投機の対象となりやすく、緩やかな価格抑制策が続けられてきました。足元では、2012年ごろから銀行の住宅ローン審査基準が徐々に厳格化したために販売は鈍化し、大都市や一部の中規模都市で価格上昇が頭打ちとなってきました。 

2.最近の動向

 中国人民銀行(中央銀行)は13日、市中銀行に住宅向け融資の承認、実行を迅速に行うよう要請したと発表しました。住宅市場が過度に減速しないよう、配慮したと見られます。報道を受けた14日には、香港株などが上昇しました。
 背景には、住宅販売額が年初から昨年実績を割り込んでおり、1-4月累計では前年同期比▲9.9%となったことなどが挙げられます。2013年通年の+26.6%から見ると、鈍化が目立ちます。
 販売額の減少は約1年半ぶりで、過去10年で2回見られました。ただし、①期間はいずれも半年~1年未満だったこと、②今回はすでに政府が融資の緩和指導に動いたこと、③新規の住宅建設はすでに抑えられ、投げ売りによる価格下落懸念は限定的なことなどを踏まえれば、今回も比較的短期の調整となりそうです。

3.今後の展開

 中国政府は4月以降、景気支援姿勢を徐々に強めています。また、現行の住宅価格への厳しい抑制策を続ける必要性は一旦低下しており、目先では住宅市場の支援や、若干の金融緩和なども想定されます。
 中長期的な好材料としては、9日に発表された金融市場改革が挙げられます。今回の方針には、債券市場や私募の資金調達環境の育成、外資への市場開放などが盛り込まれました。住宅・不動産開発では、資金調達の経路が多様化し、良質の開発案件は資金調達条件が有利となることなども想定されます。
 こうした政府改革は今後、詳細・具体策を詰めていくことになります。足元で見られる住宅市場の減速がどの程度で収まるかともあわせ、注目されるところです。

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