ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,338】中国が「地方債」を解禁へ、「城投債」は急増(中国)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,338】中国が「地方債」を解禁へ、「城投債」は急増(中国)

2014年5月29日

1.中国の「地方債」と「城投債」とは?

 中国は上海市などを除き、地方政府が「地方債」を発行して資金を調達することを原則認めていません。
 一方、2009年の4兆元の景気対策を実施する際、その財源を一部負担した地方政府は、同規制を回避するため、投資会社(融資平台)を設立し、同社を通じて債券(「城投債」)を発行することが急増しました。
 その後、「城投債」は拡大を続け、地方の開発に欠かせない役割を果たしてきました。しかし、暗黙の政府保証付き債務、地方政府の簿外債務が増加する要因でもあり、政府の対応が注目されていました。

2.最近の動向

 中国財政部は21日、地方政府による債券の直接発行を一部認め、まずは北京市など10地域で自主起債・自主返済を試行していく方針を発表しました。
 2014年の地方政府債(これまでは財政部が代理発行・代理返済)の認可済みの枠は4,000億元と、すでに定められており、公共投資の額が上積みされるわけではありません。しかし、市場は債券市場の透明性が向上し、投資先も多様化するとして、改革の進展を評価しています。
 一方、政府は景気支援のため、4月初旬に鉄道などのインフラ投資を拡充する方針を示しました。同方針に、いち早く反応したのは「城投債」です。4月の調達額は過去最高の1,800億元超、前年同月の4倍余りに急増し、市場は地方政府がインフラ投資に動き始めたと見ています。

3.今後の展開

 地方債が本格的に導入されるまでは、引き続き「城投債」が地方の資金調達を支え、景気のカンフル剤となりそうです。なお、市場では年初から資金のひっ迫感が緩和し、「城投債」での調達金利が低下してきています。これは当局が景気に配慮し、資金調達や借り換えに有利な状況を作った結果と見られます。
 都市人口が急増するなか、道路、鉄道、環境、衛生などのインフラ開発の必要性が増大しています。インフラ投資の拡充は持続可能な社会づくりの一環として、また、景気の下支え役として期待が高まっています。当面は「城投債」、「新規着工計画」などに動きが見られるかに注目です。

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