ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,358】中国の景気支援策、5月~6月も積み増し(中国)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,358】中国の景気支援策、5月~6月も積み増し(中国)

2014年6月26日

1.中国の景気支援策とは

 中国では、2014年初めに成長ペースが鈍化したため、成長目標の「年+7.5%前後」が達成できなくなるとの見方が浮上しました。その一方、4月以降には小規模な景気支援策が徐々に発表されています。
 景気の鈍化には、産業構造の転換期(高付加価値化、過剰な生産力の是正)であること、過去に行った景気刺激の副作用(影の銀行、貧富の格差など)に対処していることなどが影響しています。
 中国政府は改革の流れを妨げないよう、規模や対象に配慮しながら、慎重に景気を支えていく方針です。

2.最近の動向

 5月~6月に発表された支援策は、①長江流域の水運・物流インフラの強化、②財政支出の執行強化、③一部の中堅銀行の預金準備率引き下げ、などです。
 ①のような、内陸部の格差縮小や全体の生産性向上に寄与する投資は、今後も拡充される可能性があります。
 また③により、政府は農村・中小企業向け融資を促す意図があると見られます。政府は社債発行なども後押ししており、政府の監督下にある資本市場では、今後もやや緩和的な政策が続けられそうです。一方、影の銀行など、監督が行き届かない分野の抑制は、続けられる見込みです。

3.今後の展開

 景気に大きく影響する固定資産投資は、1-5月累計で前年同期比+17.2%と、昨年通年の+19.6%を下回るものの、徐々に下げ止まりつつあります。これは、不動産開発投資が前年同期比+14.7%まで減速する一方、インフラ関連投資が同+23.0%に加速し、両者の影響がほぼ拮抗してきたためです。
 不動産市場の調整局面はもうしばらく続くと見られるため、今後の固定資産投資の伸びを押し上げるには、インフラ投資の拡大が不可欠と見られます。まずは、上記①や②、4月に発表済みの鉄道開発などが、どの程度影響するか、向こう数カ月間の新規着工計画などに注目です。
 なお、4月、5月には地方政府が城投債の発行を急増させました。これは、地方政府が投資を拡大する資金を準備していることや、手元の資金繰りに余裕を持たせていることなどを示します。また、足元の製造業景況感指数の回復傾向なども踏まえると、今後は固定資産投資や生産の伸びが底を打ち、2014年の成長目標「+7.5%前後」の達成への安心感につながると思われます。

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