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拡大を続ける米国の「住宅市場」(米国) 【キーワード】

2016年9月1日

<今日のキーワード>
米国の住宅投資がGDPに占める割合は4%弱に過ぎませんが、木材、セメント、鉄鋼、化学といった素材はもとより自動車や家電といった耐久消費財まで幅広い産業に対して大きな影響を及ぼします。住宅を購入すると、家具・家電製品や自動車などを新しく買い替える傾向があるからです。その住宅需要は緩和的な金融環境や、雇用の改善などを背景に、2010年の半ば頃から増勢を維持しています。

【ポイント1】「住宅市場」は拡大基調を維持

7月の販売減は在庫不足によるところが大きい

■2016年7月の「住宅市場」は、販売件数が年率604万件、前月比1.8%の減少となりました。新築住宅が65万件、同12.4%増だったのに対して、市場規模の大きい中古住宅が539万件、同3.2%減となったためです。一方、新規着工件数は同2.1%増の121万件でした。

■中古住宅の販売減は、需要の落ち込みというより、在庫不足、つまり供給側の要因によるところが大きいと考えられます。実際、中古住宅の在庫率(期末在庫が何カ月分の販売件数に相当するかを測る指標)を見ると、主力の一戸建てが7月末時点で4.7カ月と、83年以降の平均6.9カ月を大幅に下回っています。

【ポイント2】住宅価格は上昇

要因は住宅需給のタイト化

■米連邦住宅金融庁(FHFA)が公表している全米住宅価格指数は、住宅バブルの最盛期だった07年3月につけた過去最高値を、15年11月に更新しました。その後も、住宅価格は上昇基調を維持しています。

■中古住宅の価格(前年比伸び率)は在庫率に対して、半年ほど遅れて、しかも逆の方向に動く傾向が見られます。つまり在庫率が低下すると、半年後の価格上昇率が高まるという関係です。これから判断すると、住宅価格は当面のところ上昇を続ける可能性が高いと考えられます。

【今後の展開】世帯形成の拡大が住宅需要を押し上げる見通し

■雇用・所得環境の好転に伴い、親から独立する若者が増えていることなどから、世帯形成は増勢を維持しています。このため、今後も「住宅市場」は拡大基調を維持すると予想されます。

■米連邦準備制度理事会(FRB)は、利上げに着手しましたが、インフレ率の低位安定などから、今後の利上げ速度は緩慢と予想されます。従って、住宅需要を大きく下押す可能性は低いと考えられます。

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