米国の雇用統計（2016年7月）
雇用者数、賃金上昇率とも市場予想を上回る増加 【デイリー】
2016年8月8日
【ポイント1】雇用者数は25.5万人増
増加基調に変化は見られない
■2016年7月の非農業部門雇用者数は前月比25.5万人増となり、市場予想（ブルームバーグ集計）の同18.0万人増を上回りました。
■5月の雇用増加数は同2.4万人増にとどまりましたが、その後6月、7月と2カ月連続で同20万人を超える増加となりました。3カ月移動平均で雇用の増加ペースを測ると、19.0万人となります。
【ポイント2】失業率は4.9％
賃金上昇率は前年比+2.6%
■他方、失業率は、前月比横ばいの4.9％でした。労働需要（就業者）と供給（労働力人口）がほぼ同じペースで増えたためです。
■賃金上昇率は前月比＋0.3％と、市場予想の＋0.2％を上回りました。前年同月比では＋2.6％となります。労働需給の引き締まり度合いを測る尺度である自発的離職者比率の後を追うように、賃金上昇率も徐々に高まってきました。
【今後の展開】景気は緩やかに拡大
■雇用統計を受けた5日の米国株式市場は、上昇しました。7月の雇用増加数、賃金の前月比上昇率が事前の市場予想を上回ったことなどから、米景気の先行きに対する楽観的な見方が強まったためです。
■一方、米国債利回りは上昇、為替市場では米ドル高となりました。良好な雇用統計を受け、利上げ観測が強まったことによるものです。
■米景気は拡大を続けていますが、物価上昇率が低い水準で安定していることなどを踏まえると、この先、利上げはあっても、そのペースは極めて緩慢なものにとどまる可能性が高いと見られます。
■こうした点から、株価は当面、景気、企業収益の拡大を織り込む展開が続くと考えられ、国債利回りも低い水準にとどまる見通しです。
