ホームマーケット日々のマーケットレポート最近の指標から見る中国経済(2014年10月)  消費が主導する安定成長への転換を模索【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

最近の指標から見る中国経済(2014年10月)  消費が主導する安定成長への転換を模索【デイリー】

2014年10月29日

【ポイント1】7-9月期は+7.3%の成長率

消費と投資の鈍化が減速要因
■7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.3%と、4-6月期の同+7.5%から減速しました。輸出が伸びたものの、消費や投資といった内需が減速し、成長率が低下しました。

■9月の鉱工業生産は前年同月比+8.0%となり、1-9月累計での前年同期比の+8.5%を下回りました。個人消費の動向を示す社会商品小売額も同様に9月は同+11.6%の増加でしたが、1-9月の累計では同+12.0%となり、内需は足元で減速しています。

【ポイント2】不動産市場の構造調整進展

政策効果が浸透
■新築住宅価格は、下落に転じた都市が増えています。国家統計局の主要70都市についての調査では、新築住宅販売価格が前年比で下落していたのは2014年6月時点では1都市でしたが、9月には58都市に増えています。不動産開発投資も1-9月累計では前年同期比+12.5%と1-6月累計の同+14.1%から増加率が縮小しました。

■こうした不動産市場の減速は、政府が進める不動産投資抑制策の結果であり、政府は構造調整が安定的に進んでいると、前向きに受けて止めています。

【今後の展開】これまでの高成長とは異なる、消費が主導する安定成長を模索

■足元の弱い経済指標にも関わらず、大規模な経済対策に消極的な政府の姿勢を受けて、来年は経済成長率目標が引き下げられるとの観測も出始めています。これまでの高成長とは異なり、消費が主導して安定的に経済が成長する状態を目指していると見られ、これを「ニューノーマル(新常態)」と政府は呼んでいます。

■1-9月累計のGDP統計で見ると、第三次産業の占めるウェイトは46.7%と第二次産業の44.2%、を上回り、構造変化が進んでいることが示されました。企業の過剰生産能力、地方政府の債務問題、シャドーバンキングの膨張への対処などの課題が山積するなか、12月に開催される経済工作会議では「ニューノーマル」の実現を目指した2015年の経済目標が、よりはっきりすると見られます。

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