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【デイリー No.1,909】主要国のリート市場の最近の動向(6月) ~世界的な低金利が下支え~

2014年7月9日

<ポイント>
・6月のリート市場は、国債利回りが総じて低位に推移したことなどにより現地通貨ベースで概ね上昇しました。
・為替市場では日米欧の金融政策に対する思惑が交錯したことなどから、まちまちな動きとなりました。
・主要国で低金利政策の長期化が見込まれることや、不動産市場のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)も堅調に推移すると見込まれることから、リート市場は底堅く推移すると思われます。

1.世界的な低金利を背景に上昇

 6月のリート市場は、米欧を中心に国債利回りが低位に推移したことなどにより現地通貨ベースで概ね上昇しました。為替市場では日米欧の金融政策に対する思惑が交錯し、主要通貨は円に対しまちまちな動きとなり、全体では概ね横ばい圏となりました。円ベースではリート市場は5カ月連続で上昇しました。

2.主要国のリート市場の振り返り

 米国は、前月比+0.3%(円ベース、うち米ドル要因は▲0.4%)となりました。連邦公開市場委員会(FOMC)で量的金融緩和策(QE)の縮小継続が決定されましたが、国債利回りが低位に安定したことなどが好感され上昇しました。
 豪州は、前月比+4.0%(円ベース、うち豪ドル要因は+1.0%)となりました。政策金利が引き続き過去最低水準に据え置かれたこともあり、リートの配当利回りの高さなどが好感されました。また、大手のウエストフィールド・グループとウエストフィールド・リテイル・トラストの事業再編案が株主投票で承認されたことも上昇要因となりました。
 フランスは、前月比+4.0%(円ベース、うちユーロ要因は▲0.1%)、英国は同▲1.4%(円ベース、うち英ポンド要因は+1.5%)となりました。フランスは、欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和策などを受けて国債利回りが低下したことなどが好感され上昇しました。英国は、景気回復により早期利上げ観測が強まったことなどから下落しました。
 アジア地域は、シンガポールが前月比▲2.0%(円ベース、うちシンガポールドル要因は+0.1%)、香港が同+2.1%(円ベース、うち香港ドル要因は▲0.4%)、日本が同+2.1%となりました。シンガポールは、リート各社の決算は概ね好調でしたが、利益確定の売りが優勢となり下落しました。香港は、市場の時価総額の過半を占めるリンク・リートが、前年同期比+13%の増配を発表したことなどが好感され上昇しました。日本は、空室率の低下や賃料の上昇など不動産市況の改善が鮮明になったことや、配当利回りの高さが好感されて上昇しました。

3.今後の見通し

 米連邦準備制度理事会(FRB)はQEを今年秋ごろに終了させる見込みですが、雇用の質の改善が充分ではないことなどから低金利政策を当面継続すると見られます。また、ECBがマイナス金利導入に加えさらに金融緩和策を強化する方向であることや、日本では追加金融緩和策への期待が根強いことなどから、先進国の金利は当面低位に安定すると見られます。一方で欧米やアジアの主要な経済指標は総じて改善傾向を示していることなどから、主要先進国の入居率や賃料などの不動産市場のファンダメンタルズは、堅調に推移すると見込まれます。これらを背景に、主要国のリート市場は底堅く推移すると思われます。
(個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。)

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